●そこで話す理由
東京・代官山にあるアムスタイルキッチン。そのラウンジは不思議な場所だと思います。凛とした素材が整合的でもあり、ランダムでもあり、張り詰めた空気が漂っています。ここに取材にくるといつも、社長の清水克一郎さんと、深い会話が始まります。
そんな体験をもっと広げられないだろうか。そこでこれから毎シーズン、この場所に私がその道のプロフェッショナルをお招きして、アムスタイル社長の清水克一郎さんと一緒にお話を伺っていきます。
思わぬ人、聞いたこともないテーマ、見たことのない道 ── リアルキッチン読者の皆さんとどんな出会いが待っているのでしょうか?
さて、今回お招きしたのは….。
「僕にとって、すっきりと収まっている空間は、落ち着くんですよ」。高橋智隆さんはアムスタイルキッチンのあるラウンジを見渡すと、そんな風に話し始めました。直線的なキッチンに囲まれた空間は、居心地が良さそうです。
そんな高橋さんは、モデルのような風貌ながら、日本を代表するロボットクリエイター。Tシャツにジャケットというラフな装いの、そのポケットから取り出したのは “小さなお人形” でした。いえ、人形と言ってはいけないのです。
ステンレスの厚く硬いワークトップの上にポケットからコトンと置かれたのは『RoBoHoN(ロボホン)』という、ヒト型の携帯端末。「やあ」と、話しかけると、たどたどしく返事をします。
『ロボホン』は2016年にシャープから発売されたモバイル型ロボットです。私たちが身近に手に入れられるロボットの一つと言えます。2019年の2月には第2世代のモデルも発売されました。
ロボットの歴史を振り返ってみると、1980〜90年代の大学主導による二足歩行ロボット研究時代を経て、2000年の初頭にはソニーの『AIBO』(1999年発売)やホンダ『ASIMO』(2000年)の登場によって一大ロボットブームが巻き起こります。ところがその後、開発を牽引してきた日本企業の多くが業績不振などにより、次々とロボット事業から撤退していきました。
一方、要素技術の発達とともに、若い研究者やクリエイターによる取り組みが始まります。そんな中、ロボットによる世界的なサッカー大会「ロボカップ」での5年連続優勝(2004〜2008年)や、記憶に新しいところではグランドキャニオンに挑戦した「エボルタくん」など、次々とユニークなロボットを生み出しているのが高橋智隆さんなのです。
【amstyle dream note】第2回目はこちら
02 キッチンをめぐる少し未来のお話〜空間デザイナー・長谷川喜美さん
https://realkitchen-interior.com/sp-issue/19344