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Milano moves to 2021

ミラノサローネ─未来への延期 後編
2020.04.01 キッチンジャーナリスト 本間美紀

●国際化が急速に進んだミラノ

ミラノはこの10年でイタリア国内でも急速に発展した都市の一つです。ミラノは今やファッションやインテリアのビジネスでは有名ですが、文化や歴史的に豊かなローマやフィレンツェに比べ、自国では長く地方の工業都市という位置付けとみなされ、あまり目立った都市ではなかったと話すイタリア在住者もいます。

私が初めてミラノサローネを取材したのが1999年。当時は地下鉄のチケット買うのにも、会場に入場するにも大行列でした。街が激変したのはやはり2015年ミラノエキスポの成功以降です。エキスポはミラノの生活を変えたという人もいるほどです。ミラノエキスポの最高責任者ジュゼッペ・サラ氏が、現在ミラノ市長に抜擢されたことを考えても、エキスポの成功がもたらす効果は大きかったでしょう。ミラノ地下鉄やトレニイタリアなど鉄道会社との協力体制も整い、ミラノ名物「スト」の心配もだいぶ少なくなりました。

地下鉄やホテルなどの利便性はグンと上がり、ガリバルディ地区からはショッピングモール風のビルやスカイスクレイパーが並びます。またミラノに長く住む人からは、エキスポが保守的なイタリア人の頭を変えた、という話も聞きました。イタリア人もアメリカ風のベーカリーや日本食など新しい食文化を受け入れ、ミラノらしいレストランが消え、都心部にはインターナショナルな店やブランドショップが増えました。世界からの観光客が激増し、私自身も急激に発展するミラノに戸惑っていた頃もあります。

民間出身のサラ氏が市長に就任してからは、ミラノ、イタリア発のデザインを国際的な競争力としようと、行政とデザイン業界が一体となった仕掛けがサローネでは展開されてきました。ミラノの観光や文化とのコラボは、まさに彼のミラノ愛から生まれたもので、大聖堂前の広場を使ったイベント、ミラノ・スカラ座とのジョイントコンサートなどが行われてきました。

ミラノサローネが主催した開催前夜のスカラ座のコンサートは、政府の要人も招き、インテリアやデザイン業界の存在感を政界に示した。
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