
そんな建築家住宅で暮らした恵さんは、その後、10代でフランスに渡り、語学や料理、インテリアなどさまざまなことを学び、仕事をし、22年ぶりに帰国して、日本文化の真髄とも言える京都に住むことに決めました。
フランスでは料理やアート、インテリアなどライフスタイルに関わる仕事に携わることが多く、フランス人の友人からインテリアデコレーターの仕事も依頼された経験があります。
フランスのデコレーターとは、すでにある建築空間やアパルトマンの中に、家具やアート、生活道具などを依頼主のために一式そろえるという、その人の人生と美意識を丸ごと請け負うような仕事です。
「すでにお持ちの家具やヴィンテージ、モダンデザインでも、すべておまかせなのがフランス流。特に私は日本人で、どちらかというとものを減らし、ミニマリステイックに空間を仕上げていくスタイルが期待されていました」と恵さん。
「自分のリビングでは照明や絵画などは座ったとき、一番よく見える高さや配置などにしています」
ダイニングの照明はルイスポールセンの「アーティチョーク」、リビングには「アパラタス」を選んでいます。「昼間の雰囲気と夜明かりをつけたときにまた一段と素敵な表情になるのがとても魅力的で大変気に入っています」と恵さん。
そんな恵さんがダイニングセットに選んだ家具はデンマークのフリッツハンセンのシンプルなラウンドテーブル「フリッツハンセンPK54」。「天板の天然石の柄は本国とやりとりして選びました」。チェアはイタリアのカッシーナから出ている、フランスの建築家ピエール・ジャンヌレの「コミッティチェア」。北欧、フランス、イタリア、それぞれの国の持ち味が溶け合っています。
そしてフランスの住まいで欠かせないのはアートでした。恵さんもインテリアの中ではどんなアートを置くか、ギャラリストと相談しながら決めていきました。
「芸術家の作品はプロダクトを買うのと違って、出会いもいつ届くかもわからない。そのための余白を残しています」
この日もリビングの前には大きな壁が残っていました。すでに美術家・李禹煥(リ ウファン)のアートを注文済みで、届き次第、大型モニターを撤去してキッチンからお気に入りのアートを眺める生活を始めるそうです。
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