●道すじをつける−整理整頓から始まる美しい一日
東京の高級住宅地にある、一軒家スタイルのショールーム「ファイル」。そのショールームは石川敬子さんの自宅でもあることに驚きました。自らの暮らしをすべて公開して、キッチンを考える。潔いスタンスが伝わります。
─言われてみれば暮らしの気配は感じますが、生活感は感じません。
「朝は掃除から始まります。スタッフが出社する前にできるだけきれいな環境にします。それが一日のモチベーションに繋がり、お客さまをお迎えする姿勢にも繋がります。家が整っていて穏やかでいられるのが幸せでいるために一番重要なことだと思っていますし、お越しいただく方にも心地良く感じていただきたいからです」
─収納の中を見て、これだけものがしっかりとオーガナイズされていると、見ている方も気が引き締まります。
「はい。ショールームでは引き出しはもちろん、どこを見てもらっても大丈夫です。ピタッとものが自分の思い通りに入っているのが気持ちいい。伝わるものが必ずあると思います。私の性格もあります(笑)。整理や収納をきちんとしないと物ごとを始められないんです。小さい頃からそう。仕事をしようと思っても片付いてないとだめ。プランを考えるときは、何もないデスクに資料を縦横揃えてきれいに並べて、整った状態で取り組みます」
─そんな潔いスタンスはファイルのキッチンにどう反映されているのでしょうか?
「キッチンに一番大切なのは、出し入れしやすくきれいに整えられる収納だと思っています。いくらデザインが良くても片付いていないとその良さが感じられなくなってしまい、キッチン自体を大切に扱っていただけなくなってしまいます」
「これまで収納が苦手と言われていた方の多くは、収納をきれいに整えづらいキッチンや家具を使われていただけで、きちんと収納を計画したキッチンをお使いいただいたら見違えるにようにきれいに、大切に使ってくださっています。まずこの考え方をお伝えするのがファイルのスタイルです。ご希望の場合は納品後に収納のお手伝いをすることもあります」
─収納とはものをしまうのではなく、ものごとに道筋をつけることなんですね。