
ミラノサローネ国際家具見本市のエドラ社ブースで、副社長のモニカ・マッツェイさんにインタビューをした。彼女は創業家に生まれ、現在実質的にビジネスを進める。エドラは1987年にトスカーナで設立。イタリアでは比較的新しいブランドだ。
「母体は自動車など他の産業のためのマテリアルメーカーで、特にテキスタイルを得意としています。組成から素材を開発するので、あらゆる用途に対応できます。エドラはこの技術を、人間の無限の創造性に捧げたいと生まれた家具ブランドです」と説明してくれた。
「ですので、他社にはないものがつくれる。依頼したアーティストの案には、決してノーとは言いません。それがタイムレスで美しいものか。使う人の生活の質を上げてくれるものかを徹底的に話し合い、作ると決めたら決して廃番にしない覚悟で着手しています」とモニカさん。
たとえば華やかなポリカボーネートのチェア「マルゲリータ」はヤコポ・フォッジーニ氏のデザインで、当時は最新の素材だったポリカボネートを編んだように成形し、厚みと強度、透明感、軽さを実現している。
日本のデザイナー、梅田正徳氏の「ゲツエンチェア」は日本でも最も有名なエドラのチェアだろう。世界のどのメーカーでも受け入れられなかったり、製造をためらわれたデザインを、エドラは実現している。この後にもローズチェアなど、優美な花弁のチェアがつくられエドラのアイコニックな製品となった。
他にもカンパーナ兄弟のデザインによる500mのロープを編んだチェアやミラー仕上げのアクリルを磨き上げて、モザイクのように貼り合わせたキャビネットなど、素材と技術の発想は革新的だ。
アクリルミラーのキャビネットは内装を多彩に映し出して美しかった。