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堕天使が降りてきた

2024.05.27 キッチンジャーナリスト本間美紀

・身体感覚をソファに再現する、その凄さ

話をフランチェスコ・ビンファレ氏に戻そう。冒頭の’’シロクマソファ’’「パック」の製造時に、ビンファレ氏と対話する開発担当者のコメントが面白いので引用する。

「初期段階で、フランチェスコはコンセプトについてひたすら話をしてくる。それをずっと聞くようにします。しばらくするとアイディアを変えてくる。そしてまた 360°回ってもとに戻る。ぐるぐる考えをめぐらせるのです。難しい局面に達すると考えを変えて、元のコンセプトに戻ります。その間、フリーハンドで常にラフに何かを描いています」

展覧会で紹介されていた作品は、そんな情熱のすべてだ。

「対象物を限定しないので、私たちの視点や変更を取り入れてくれる余地を与えてくれるのです。そうすることで、可能な限りの可能性とアイディアを集めるのです。図面は一切書きません。自宅のキッチンのテーブルでメモしたり絵を描いたりしているのです。情熱的で、迷宮的で、血の気が多く、躊躇なく話す。そして色々なことに興味を持つ人です。たまに付き合うのが辛くなりますが、凡庸な事は言いません。会社にとっては不可欠で唯一無二の存在です。彼のプロジェクトには必ず深いモチベーションがあります。パック には、本人が愛情を求めている意志が垣間見えます。会話が無くなったり、お互い“愛が無い関係”になると、ものすごく不安で不機嫌になるので、彼には愛について語らせることを忘れないでください」

付き合うのがたまに辛くなる、、、でも愛について語らせることを忘れないーこのリアルな言葉に思わず胸が詰まる。

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