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Serene Space, Delicate Details
静けさの中にさりげなく自分らしさを
カッシーナを去り、創作活動に専念していたビンファレ氏は、1993年に当時のエドラのアートディレクターにばったりと出会う。以下はビンファレ氏の言葉である。
『Morozzi と道でばったり会ったんだ。
“今何やっているの?”
“絵を描いているよ”
“ソファをデザインしてみない?”』
けれどもすぐにソファはデザインされなかった。
ビンファレ氏は絵物語を描いたり、象徴的な夢を見る。ソファ「フラップ」をつくった時はベッドを飛び出して型紙に切り込みを入れ、その切り込みをさまざまな方向へ動かした。ヘッドレストや足を伸ばせるフットレストを自在に動かせるソファはこうして誕生した。上の「スタンダード」は人の過ごし方のスケッチワークを重ねて、自由な身体的な感覚を再現したいという直感からデザインされている。
とにかく圧倒的な量の作品を見て進んでいくと、シロクマがいた! 粘土でできたシロクマのファーストアイディア。その表面に残る彼の手の跡を見た時、ソファ「パック」をウケ狙いのデザインなのかな?と思った自分を恥じた。
そこにいたるまでの彼のスピリチュアルな旅はここでは割愛。このような才能を家具のビジネスとして成功させたエドラというブランドに、大きな誤解をしていたことに気づいた。