
●遠目で見る素材、近くで触れる素材
清水「素材についてはどんな風に考えていますか? 同じ素材でも目線の距離で印象の変わるものもあるし、金属や石のような硬い素材も仕上げ方によっては意外なほど柔らかく見えることがある」
長谷川「そうですね。私のつくるものはあれっ? って思った人がそばに寄ってくる。その時に“本物”であることが必要かなと思っています」
清水「アムスタイルにはアルミニウムでつくるキッチンの扉があるんだけど、アルミ素材にブラッシュかけて表情を出したら、着色から仕上げまでどんと一度につくる。電解着色だから温度や時間で色がずれないようにワンプロジェクトで一気に仕上げないといけない。その時の職人の状況や素材の微妙な性質で変わっていっちゃう」
長谷川「すごい深い色味。やっぱり手がかかっているんですね。私はうつろいゆくもの。清水さんは長く残るもの。つくるものの時間軸は違うけれど、共通するものがあります」
清水「昔は均一な仕上げが求められていたけど、今では変わって来た。そうすると自分もアートのような着地点を求めてしまうから、工場にも伝える言葉を変えなきゃいけない」
長谷川「キッチンは近くで触れる素材でもありますが、遠くから見る素材としても考えられているんですね」
清水「低い目線での素材感ってとても大事です。椅子に座った時、ソファに身を沈めた時、目に入ってくるのがキッチンの扉だったりする。アルミ、セラミック、木、塗装、それぞれの素材に対していくつもの解答を持っている必要があります」
【amstyle dream note】第1回目はこちら
01 キッチンをめぐる少し未来のお話〜ロボットクリエイター・高橋智隆さん
https://realkitchen-interior.com/sp-issue/18103