
●いつの間にか、母である自分
清水「キッチンを納めてから12年、いつのまにか長谷川さんは母になってた」
長谷川「一人息子はいま8歳で、サザエさんのカツオみたいにやんちゃです」
清水「子どもは予測できないことをするよね。この前も事務所にいったら、下の息子が僕のデスクに座ってた」
長谷川「キッチンと自分の関係は、家族の成長とともに変わっていきました。大きなシンクをつくってもらったから、赤ちゃんの頃は息子をキッチンで沐浴させてましたよ」
清水「それはすごい笑」
長谷川「そして今はリビングで勉強をするようになって、キッチン越しに漢字のプリントを見たりしてる。母親はキッチンに立っている時間が多い。子どもと一緒に過ごす時間もキッチンが多いですよね」
清水「今、キッチンはオープンになって間取りという区切りがなくなりました。その一方で使う人の意思で時間の切り替えを生みだしている。たとえば家族とつながる心理的な場所、収納の中は気に入ったものを納めて自分を表現する場所にする。または洗い物を片付け、家族が寝静まった後に自分に戻る場所としたり」
長谷川「確かに身に覚えがあります。暮らしの時間は壁で切り替えるのではなく、自分の過ごし方で切り替えますね」
清水「長谷川さんは料理も絵のように作りますよね」
長谷川「料理は大好きですよ。時間があればもっとしたいくらい。食器に似合ったデザインの料理をしたいんです。食は家族のためでもあるけれど、自分のこだわりもある。美しく作りたい。あまり創作っぽくすると主人が嫌がりますが(笑)、息子はそれを見てあたりまえになっている。料理だって自分の表現の場です。平日は母に頼りきりですけど、、、(笑)」
長谷川「わたし清水さんに会ったら、話したいことがあったんですよ。イタリアの友人が古い家を改装したんですが、夏のキッチンと冬のキッチンがあるんです。夏はテラスのキッチンで気持ちいい環境で料理する。冬はとても寒いから、室内で火を熾してお鍋をコトコト煮込む。キノコやジビエなんかも料理する。食べることや人と集まることが大好きだから、キッチンにかける愛情が違う。その切り替えがとても素敵だなと思ったんです」
清水「そういう暮らし方も、一つのキッチンの未来ですね」
長谷川喜美(はせがわ・きみ)|Kimi Hasegawa |VELVETA DESIGN
空間デザイナー。桑沢デザイン研究所卒業。2004年ベルベッタ・デザイン設立。「空気をデザインする」をテーマに、空間に関わる様々なクリエイションを手がける。水族館や観光地、大型商業施設など、季節感やテーマにそった体験型の空間と、女性らしい色や素材、モチーフの捉え方に定評がある
清水克一郎(しみず・かついちろう)|Katsuichiro Shimizu |amstyle kitchen
アムスタイル代表取締役
2000年アムスタイルキッチンを創設。ブランドディレクターとしてアムスタイル製品のコンセプトワークを手がけている。キッチン、水回り家具にこだわる施主、設計者からの注文に応えてオートクチュールな手法で組み上げたジャパンメイドのキッチンを個人邸宅中心に納めている。
■アムスタイルキッチン サイト https://www.amstyle.jp/
写真=根田拓也
文=本間美紀
■Back Number
【amstyle dream note】
01 キッチンをめぐる少し未来のお話〜ロボットクリエイター・高橋智隆さん
https://realkitchen-interior.com/sp-issue/18103
■リアルキッチン&インテリアとアムスタイルがお届けする、キッチンと建築、素材の関係を読み解く連載【amstyleーbeyond the pradise】。こちらも合わせてお読みください。
【amstyle─beyond the pradise】
目黒〜アムスタイルのある家 01
https://realkitchen-interior.com/sp-issue/17608
【amstyle─beyond the pradise】
軽井沢〜アムスタイルのある家02
https://realkitchen-interior.com/sp-issue/20344
【amstyle dream note】はリアルキッチン&インテリアとアムスタイルが、その先の未来について考えるトーク企画です。2019年秋から毎シーズン、代官山のアムスタイルのキッチンラウンジにその道のプロフェッショナルをお招きして、アムスタイル社長の清水克一郎さんと一緒にお話を伺っていきます。