INTERIOR

Our chair-HIROSHIMA

この椅子への想いを解く
2020.02.03 キッチンジャーナリスト 本間美紀

4 「ふしとカケラ」の意味とは?

家具製作では、削っていく過程で節やシミがどうしてもでてしまうことがあります。マルニ木工の「ふしとカケラ」のシリーズは、製品にしにくい部分(ふし)をそのまま活かし、minä perhonenの裁断時に出てしまう張り地の余り布もしくはハギレ(カケラ)を組み合わせて座面に。世界に一つだけの椅子となります。椅子という「もの」を舞台に、ここまで哲学が広がることに驚きます。

均一な仕上がりが求められるこのシリーズ企画は2013年にスタートし、毎回ファンが集めるコレクターアイテムになっているとも言われています。先日も東京や広島で第5弾が開催されました。

そしてどうしてこの椅子は「HIROSHIMA」というの? 広島県を拠点とするマルニ木工で生まれているからです。同社の社長も社員も広島が大好き。マルニ木工に行くと、その地元愛に圧倒されます。深澤さんもその思いを受け取ったのかもしれません。

歴代の名作椅子が経てきた時間と、現代のメーカーが出す毎年の新製品の時間の間には隔たりがあります。現代の製品をどの時点で名作と呼ぶのでしょうか。そう思いながら見ていると、やはりいくつかの椅子が生き残っていきます。その一つが「HIROSHIMA」です。

家具を長く取材してきてましたが、名作椅子はこうやって生まれるのかと、誕生に立ち会ったような感動があります。そしてそれは時を経て、使い手に愛されて、そうなるのだということも実感しています。

HIROSHIMA  アームチェア 9万3000円〜19万3000円(税抜)

 

取材・文 本間美紀/早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多く、セミナー活動も増えている。著書に「デザインキッチンの新しい選び方」(学芸出版社)「リアルキッチン&インテリア」(小学館)

【問い合わせ先】
マルニ木工
https://www.maruni.com/jp/

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