ということで、コロナ禍中にミラノサローネのプレジデントに就任したマリア・ポッロ氏が、よりビジターの目的ににかなった動線を数年をかけて実現しつつある印象で、これが今回の大きな功績です。
マリア・ポッロは「この期間、ミラノ市街では多くのイベントが開かれますが、ミラノサローネこそがそのエンジンとなっている」と力強く発言していました。
二人の子どもを育てながら分刻みのスケジュールをこなす日々のマリア・ポッロ氏。公的な場では美しく装い全身からエネルギーを発しながら発言する力強い女性。また会場でふとすれ違うと自然な笑顔の素直な女性。
人間関係を大事にするイタリア家具業界の多くが、マリア・ポッロという人間に魅了されたのでしょう。多くのブランドが会場に戻り、活況を呈していたのは間違いありません。
会期の中日には出展者や関係者を招いたパーティが、レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館で開催され、ユーロルーチェにちなんだライトアップが見事でした。
こちらも地面に今年のビジュアル・アイデンティティの「デザインアルファベットブック」のテキストが投影される仕掛けで、個人的にはP はなにかしら、Nは?などと謎解きのように見てしまいました。
イベントにはイタリアでは最近人気急上昇という歌手TANANAIが登場し、イタリア人たちの盛り上がりも最高潮。国際的なフェアでありながら、出展者の大半であるイタリアの参加社に特別な体験をさせてあげたいという主催者の熱意を感じました。
ミラノサローネ国際家具見本市やミラノデザインウィークに関しては、あまりにもインパクトが強すぎて、誰もがそれぞれの意見や見解があると思います。
ビジネス、デザインとカルチャー、コミュニケーション、そしてエモーション。
インテリアの世界で必要とされる4つの要素を知的に整理し、情熱的に表現する。そんなスマートでエモーショナルな見本市に変わってきていると私は感じています。
混沌とし訳もわからず包まれてしまうイベントではなく、落ち着いて、自身の目をもって冷静にみれば、たくさんの一流の文化やデザイン、そしてそれに関わる人々がすぐに手の届くところに存在している。
それがいまのミラノサローネ国際家具見本市です。
また詳細はゴールデンウィーク明けから続報したいと思います。
Reported by Miki Homma(Journalist)
ミラノサローネ国際家具見本市 次回開催予定 : 2024年4月16日〜21日
Photo=Courtesy Salone del Mobile.Milano and each brands