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Special Issue

German house as it is 02

自然と暮らしをつなぐドイツの窓
2019.06.25 キッチンジャーナリスト 本間美紀

【REALKITCHEN& INTERIOR ×ドイツの家】

ドイツの家というとみなさんは何を想像するでしょうか? 三角屋根の並ぶ街、うろこ屋根、レンガの壁…。私の言葉で言えばドイツの家は「生きている」家です。そんな連載の第2回目です。

●外付けブラインドの音が日常……の理由

ドイツの家の朝はある音から始まります。それはカシャンカシャンと巻き上がっていく、外付けブラインドの音。べッドの中にいると細いスリットから光が漏れてきます。私はその家だけが特別なのかと思っていたのですが、室外に外付けのブラインドがついている──それはドイツの家では一般的なことなのだそうです。先日、ドイツに出張した時に、また外付けブラインドの音を聞く機会がありました。それはある女性アーティストのアトリエを訪ねた時のことです。そこは古い工場をリノベーションした、郊外の一室でした。

刺繍をベースにしたアートを制作したり教室を開くためのアトリエです。色や質感を見ることが多いため、自然光が得られる窓の多い空間が彼女の創造性を刺激するのだそうです。光がきちんと取り込まれること。そして絵のように外の景色を見せてくれること──窓の外には木々と川と空が見えます。

時間は夕方でしたが、西向きの窓は日ざしがあまりにも強すぎるため、ブラインドは西日を軽く遮るように下ろされていました。

西日が落ち着くと彼女は壁のボタンを押し、外付けブラインドのスリットの角度を電動で調節し、少しずつ開け始めました。すると夕暮れの美しい景色が目に飛び込んできました。私が驚いたのは、外付けブラインドの開閉が、照明や空調の電気をオンオフするように、自然な行動になっていること。彼女にとってはほんの日常のワンシーンにすぎませんが。

自然と一体になりながらも、自然の猛威も知っているのがドイツ人です。室内ではなく、室外にブラインドをはりめぐらせることで、自然のエネルギーをよりコントロールしやすくなるのです。夏は太陽の光を遮ります。季節ごとの太陽の高さを考え、日差しをどれくらい取り入れられるか、より緻密に考えられています。その結果、室内の空調の効率がよくなる。日光を家に取りいれることで、照明をつけずに済む。自然光も室内灯になる。太陽の光という自然の恵みを存分に受け入れる「パッシブデザイン」の考え方を象徴するものの一つがドイツの窓なのです。

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