●言葉の意味を理解してデザインされた本
田中;宮本さんとリアルキッチンとの関わりについて教えてください。
本間:読んだら捨てられるものではなく、洋書のように永く愛用してもらえる本にしたいと思いました。デザインを大事にするリアルキッチンでは、本のアートディレクターは大切な流れでした。日本でも有数のエディトリアルデザイン事務所「ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート」(DBS)以下にデザインをお願いしていました。グラフィックデザインではダメで、きちんと編集意図や文章を大切にするエディトリアルデザインの事務所であることが大切です。おしゃれな写真を綺麗に並べるデザインはそこらじゅうに転がっていますが、編集意図を反映させるデザインでなければ、立体物である本にする意味がないです。そういう意味で前回の質感なども大切にしていて、これはミラノサローネや海外出張に本を持って行っても、内容より先に「nice texture!」と質感が先に褒められてしまうくらいです(笑)。
田中:宮本さんがメインで関わってくるようになったのはどうしてですか?
本間:実は福岡時代の宮本さんと仕事をしたことがあり、その宮本さんが古巣であるDBSに戻ってきました。彼女は編集意図との理解が深く、文字組みが圧倒的に綺麗。写真を綺麗に組むデザイナーはいくらでもいるけど、文字まで綺麗に見せられる人はなかなかいない。文字の“ごま塩”具合、つまり文字とビジュアルのバランスが絶妙なんです。何より言葉の意味を理解して、デザインをしてくれます。私は原稿を一人で書いているため、デザインの力で原稿を生かしてもらえる宮本さんの存在が大きいのです。そこでSeason3から宮本さんを指名し、プロジェクトに本格的に参画してもらいました。
かくしてリアルキッチンに関わるようになった宮本さん。そんな彼女にももう少し質問をしてみました。