
今年、事例で取り上げたテーマは「スモールラグジュアリーキッチン」でした。タイトルに「スモール」という言葉を使うべきなのかた、という私の迷いから話を始め、結果として「何に対してキッチンがスモールなのか」という目で取材をして、最終的には「絞り込むことで個性が濃縮したキッチン」という結論に至りました。
豊かな広さを持つ別荘で、キッチンだけをゆるく仕切ったこのキッチンは、結果、キッチンを濃縮させながらもデザインに妥協をしなかったことで、まさにスモールラグジュアリーなキッチンとなりました。
「個性の濃縮はなるほどと思った」「本質を凝縮した場所」
「すべての事例において、スモール(予算やスペースの制限)が個人の価値観を炙り出すフィルターになると感じた」
「自分が決めたところにお金をかけるということが、明確にわかりやすかった」
「家全体は広いのに、あえてコンパクトにして使いやすさをデザインに昇華したキッチンはメリハリを感じ、まさにキッチンサンクチュアリ(聖域)と感じました」
「グランドピアノまである広さなのに、美しく見えるコンパクトさが新鮮でした。大きくなくてもラグジュアリーなんですね」
「キッチンを隠すか見せるか?という議論から離れて、別の価値観を感じたプランでした」
このバルクッチーネのキッチンは、90年代、イタリアモダン全盛の東京で学生時代を過ごした夫婦の思い出を再現したキッチン。アレッサンドロ・メンディーニの柄が施された強化ガラスのキッチンに、フィリップ・スタルクの家具やアレッシィのツール、ドリアデの家具などが盛り込まれた「自分の好き」を表現したプランです。
「自分の好きを優先され、サイズや豪華さではなく豊かなキッチンだと感じました」
「バルクッチーネへのこだわり感、それを自ら探し出す夫婦の見る目と行動力」
「アートキッチンは本当に実現できる」
「こだわる部分とそれ以外のメリハリが凄すぎる」
「メンディーニの絵柄を映し出したキッチンは、エモーショナルキッチンと呼びたい」
このキッチンは敷地段階で、キッチンを基礎と一緒にコンクリートで打ってしまおうということで、かなり初期の段階から明確にキッチンの位置、用途を考えたキッチンです。可愛らしいお嬢さんがその上で踊っても頑丈。若い5人家族のコンパクトハウスです。
「若い家族なのに、ここまでコンセプトを明確にしているのに圧倒される」
「ガラスの温室が天井から釣られ、光窓の機能を兼ねているのがすごい」
「直線的に見えて奥がW800mm、手前がテーブルとして使えるW1200mmのサイズとしてある。単なるおしゃれキッチンじゃない!」
「自分の概念を超えたキッチンの自由度」
「コンクリートのキッチンが素晴らしかった。今後ワークトップが傷んだり、汚れても、大判セラミックを貼るなど進化もしていけそう」
濃縮したことで見えた個性。
さらにアンケートは100%全員から戻していただけましたが、まだまだ拾いたい言葉がありますので、後編に続きます。
というのも、パート3でお話しした「ゲームチェンジングするビルトイン家電」に対する皆さんのコメント!
用紙が真っ黒になるくらいの大反響でした。まだまだ続きますよ!後編はこちらから。
ここで紹介した情報は以下の本誌に掲載されています
講演&レポート=本間美紀
Lecture & Report =Miki Homma
写真=岡村享則
Photo=Yukinori Okamura