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Special Issue
The Elevation of Gravity

ガゲナウが目指す究極の静けさ

2024.09.25 キッチンジャーナリスト 本間美紀

●ガゲナウの哲学がより高まる

2024年はビルトイン家電に大きな変化が起こっている年です。まず料理の場所が「静謐」になったということが大きな変化でしょう。調理家電はより息をひそめ、空間の中に佇む。ここではドイツのビルトイン家電ブランド「ガゲナウ」のミラノでの展示をレポートします。

一度料理が始まれば、料理の香りや食材によってキッチンは彩られていきますが、それまでは建築空間と一体となって、身を潜めている。そんな美学をいち早く、表現しているのがドイツのガゲナウです。2022年に続き2024年4月、ミラノ郊外のヴィラ・ネッキ邸の屋内庭園を会場に、イベント「The Elevation of Gravity」を開催しました。「The Elevation of Gravity」とは重力が段階的に持ち上がる比喩で、ガゲナウの哲学がゆるやかに高まっていることを表現しています。

ヴィラ・ネッキ邸は1930年代に建てられた貴族の館で、当時としては古典的な建物にスポーツやファッションなどの現代文化が入り込んだ住まいで、モダンな一族の家として憧れられていたそうです。

ベルリンのクリエイティブエージェンシー「Anomaly」と組み、あえて「ひと目ではわからない」展示に挑みました。誘われた空間は半透明の布に覆われています。その中でゴツゴツとした岩と水平垂直のワークトップが目を惹く、抽象的な空間です。

その中央にお鍋が一つ、載っていることにお気づきでしょうか?

ヨーロッパでは今後主流になりそうな見えないIHクッキングヒーターです。ワークトップカウンターの中に基盤が組み込まれ、加熱部分がまるで何もないようなのに、お鍋の中では沸々と湯が沸いているのです。

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