《Showroom Experience》新連載・本間美紀と歩く最新ショールーム案内
キッチンとインテリアのショールームが激変しています。ヨーロッパのブランドでは海外と時間差なく新作が揃い、店内の空間デザインもインスピレーションの宝庫。ジャパンブランドや独立系のオーダーキッチンもサロンのようなショールームに進化しています。そんな最新ショールームの数々で、本間美紀が歩いて感じた「心が動いた瞬間」とは?
最新刊「リアルキッチン&インテリアSeason14」のショールーム特集の記事から、再収録して紹介します。
[CASA MIA Kawaguchiko カーサミア河口湖(山梨・河口湖)]
“カーサミア”への旅、得難い瞬間を見つけに
日帰り旅へ出よう。そんな気持ちになった時、向かう先が食事や温泉だけではないかもしれない時代がやってきました。
アルフレックスジャパンが所有する河口湖の4500坪の緑あふれる敷地。そこに1987年に建てた「カーサミア河口湖」を、2025年に大きくリノベーション。全く新しいブランド体験施設として生まれ変わりました。

インテリアを感じに行こう、暮らしを考えに行こう。そんな新しい体験を生み出したのが「カーサミア河口湖」です。ここはアルフレックスジャパンが河口湖そばに所有する4500坪の敷地。ここに点在する3棟のモデルハウスをめぐり歩ける場所として2025年に生まれ変わりました。

「生まれ変わり」というのも、この3棟は1987年に竣工。アルフレックスジャパンの創業者、保科正さんと彼に関わるデザイナーたちが描いた夢の住宅として開発されました。それは80年代から90年代、日本でもイタリアモダンが色濃く花開いた時代の空気を残しています。それまでは主に社員の研修やプロ向けの展示に使われていた場所を、文化も含めて体験できる場所として開放したのです。

これらの家で体験してほしいのは好きな場所に座って、「ふと見つける」シーンです。だから「終日ゆっくりしてほしい」「質問は大歓迎だけれど、ご自身に集中する時間を尊重したい」と過剰な接客のない、完全予約制のスペースとしてスタート。インテリアを長く取材をしている私も、こんな場所は初めての体験で発見だらけです。

3棟すべてが個性的な間取りで、斜めにつながった間取りや吹き抜け、階段を上がると見つかるニッチなリビングやライブラリー。海外風でもなく、日本の正統派デザインとも違う、クロスカルチャーな空間は、多くは当時のままの状態が残されています。
ここでは特に印象に残った2棟「サンライトハウス」「ヘリテージハウス」をご案内します。
Sunlight house -テラスとつながる憧れのオープンキッチン
「サンライトハウス」と呼ばれるA棟はリビングダイニングとキッチンが斜めにつながっています。リビングから見えるのはイタリア・モルテーニのキッチン。

キッチンはリビング、テラスそれぞれからアクセスがよく、家族だけの日はカウンターかテラスで簡単に食事を。ゲストを招く日は手前のメインダイニングで。ダイニング脇のハイテーブルではアペリティフがしたい。そんな思いがどんどん心に浮かんできたらOKです。

テラスダイニングはキッチンで料理している人とも、会話がしやすい位置関係に。ぜひ座って確かめてほしい場所の一つ。

階段を上がるとヌックのような「サンルーム」がある。ヨガルームや小さなリビングをつくる。そんな発見も多いのがサンライトハウスです。

Heritage House −足を踏み入れた瞬間、本物を知る
特にこの「ヘリテージハウス」に足を踏み入れると、格式ある住宅とはこういうことかと、一瞬で納得してしまいました。ここはイタリアブランド・モルテーニが復刻した名作が設えられています。
Welcome Entrance 吹き抜けのあるエントランスは、建築の構造から着想を得た軽量セメントのレッグとガラス天板のテーブル「アーク」が印象的。

7m近い吹き抜けのあるエントランスは、チーク材のヘリンボーン貼りの床。フォスター&パートナーズによるテーブル「アーク」とジオ・ポンティのチェア「D.154.2」に迎えられます。タイムレスなデザインはこのようにウェルカムファニチャーとしての、気品を放つのだと知るのです。

モルテーニによるベンチダイニングのあるキッチンルーム。天然石の肉厚なカウンター、本格的なビルトイン家電を採用。コンパクトでも気品があり、大勢のゲストを迎える機能を備えています。

メインダイニングへ向かう先に視線が伸びます。

ダイニングセットもモルテーニ。

私は世の中の不動産広告にあふれる「高級住宅」という言葉にちょっとうんざりしていました。けれどもここでは経年変化が魅力に変わった空間に、モルテーニというコンテンポラリーブランドが、時間差なく溶け込んでいます。こういうことが本当の高級―本質的なラグジュアリーだと知るのです。
ジオ・ポンティのチェア「D.154.2」が自然光に照らされる。一般的なショールームではお目にかからない映画のようなワンシーン。

How to Visit
カーサミア河口湖に行きたい!
一般向けオープンデーを事前予約しましょう。必要な時だけスタッフに声をかければ、あとは友人の家で過ごすように、閉場時間まで自由に過ごせるという新しい訪問スタイルです。毎月1回、開催。告知はインスタグラム(@casamia_kawaguchiko)やホームページでチェックを。参加費は1000円/人で(15歳未満無料)定員は40名。申込多数の場合は抽選です。現地までの交通費は自己負担。駐車場あり。
●CASA MIA Kawaguchiko[カーサミア河口湖]
山梨県南都留郡鳴沢村7251
営業時間:10:00-14:00(来場問い合わせ電話受付時間/完全予約制)
休:土曜・日曜・祝日定休
TEL:0555-85-3411
[アクセス]中央自動車道 河口湖I.Cより車で15分/
東名高速道 御殿場I.C.経由、東富士五湖道路 富士吉田I.Cより車で15分
https://www.arflex.co.jp/casamia-kawaguchi-ko

取材&コラム=本間美紀/Text&Report=Miki Homma
撮影=石塚定人 Photo=Sadato Ishizuka
「リアルキッチン&インテリア」著者。インテリアの老舗専門誌の編集者を経て、独立。ライフスタイル、キッチン、インテリア、デザインなどの編集執筆、セミナー活動を手掛ける。ユーザー、ビルダー、メーカーの3方向からの取材を通した「リアルボイス」を基軸にした取材を得意とし、ハイエンド住宅の取材は300件以上。ミラノサローネ、メッセフランクフルトなど海外のインテリア見本市取材を30年近く80回以上も続け、トレンド分析にも定評がある。
こんな体験を一冊にした最新刊『リアルキッチン&インテリア Season 14〜こんなに変わったキッチンとインテリアのための最新ショールーム』。全国の書店のほか、ネット書店でお求めください!
REALKITCHEN&INTERIOR Season 14 (著:本間美紀/小学館刊 2,200円)

『REAL KITCHEN & INTERIOR Season 14
こんなに変わったキッチンとインテリアのショールームガイド』
著:本間美紀 刊行:小学館 2,200円(税込)
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https://www.shogakukan.co.jp/books/09802207