
展示ブースというよりも、ショールームと呼びたくなるほど本格的な展示を行ったのは、丸平木材×tossanaighの「宮城テロワールキッチン」。
宮城県南三陸の杉と石巻市の雄勝石(おがついし)を使用し、わずか10日間の展示のために、ガゲナウのオーブンや食洗機を備えた立派なキッチンを作り上げました。
このキッチンの面材は、すべてリアス式海岸が特徴の南三陸で育った杉。伊達政宗が仙台城を築いた際、広瀬川に架ける橋の材として政宗の目にかなって採用されたという由緒ある材です。
この良材ですが、従来どおりに製材した無垢材だと、どうしても重い“和風”になってしまいます。これをカットして5枚をはぎ合わせ、斜め45度にカンナで削る「ダイヤモンドカット」を施すことで、無垢材のよさを残したまま、洋の東西を問わない軽やかな印象に。撥水性や耐防汚性などに優れたガラスコーティングが施されています。木の呼吸を妨げることなく、ナチュラルな色合いと手触りも、そのままです。
特定の地域の木材をアピールする際、まずは木製家具が作られることが多かったのですが、「丸平木材×tossanaigh」は、木材のよさを表現するためにキッチンを作りました。それはなぜでしょうか。
「暮らしの中で、いちばん“豊かさ”を感じる場所、家の基点となる場所にこの材を使いたいと考えた結果、それはキッチンだという結論に至りました」と、デザインを担当したKaiba Design Nodeの前田圭悟さん。
同感です!
「南三陸杉は、年輪が密なので丈夫です。芯の赤味が淡くて上品な色合いが特徴ですね。九州大学との共同研究により、リラックス効果や調湿効果などに加えて、杉には抗菌作用や抗ウイルス効果、認知症抑制効果などが認められることがわかってきました」と丸平木材の小野寺邦夫さん。
ガラス加工は、左から、ナチュラル、柿渋、柿渋と鉄を反応させた黒、鉄の4種類。黒は、深い黒色なのに、角度によって木目が見えて、何ともシックでした。
今後、REAL KITCHEN & INTERIORの取材でも、このキッチンを採用したお宅に伺うことがあるかもしれませんね。