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MilanoSalone2019 05

人工知能が夢見る新しい家具の形
2019.05.17 リアルキッチン&インテリア ディレクター 宮澤明洋

●フィリップ・スタルク氏のデザインを AI が再編集?

話しを Kartell「A.I.シリーズ」に戻しましょう。

今回のプロジェクトでは、強度や安全性、カルテルが射出成形による製造を行なうための要件などの「制約」や「設定」に加え、スタルク氏のチェアに関する包括的な「ビジョン」をジェネレーティブ デザイン ツールにインプットし、その結果として出力された無数のデザインオプションを元に商品化がなされました。

ここであらためて思い出していただきたいのは、先ほど紹介したゼネラルモーターズやエアバスの実例の場合、メインの目標として設定されているのは軽量化であり、見た目の美しさではないことです。実際、ジェネレーティブ デザインが活用されているのは、普段は目にすることのないパーツや通常はカバーで覆われている構造体だったりします。その意味では、すべてが人々の目にさらされている家具(イス)のデザインは AI にとって貴重な体験だったのではないでしょうか?(スタルク氏の「ビジョン」がどのようにツールにインプットされたのか、興味深いところです)

思えばカルテルには「MASTERS」というフィリップ・スタルク氏の名作もあります。
これはダイニングチェアの不朽の名作、シェルチェア(チャールズ&レイ・イームズ)、セブンチェア(アルネ・ヤコブセン)、チューリップチェア(エーロ・サーリネン)のアウトラインを3つ重ねたダイニングチェアです。

偉大な巨匠たちのデザインをフィリップ・スタルク氏の脳が再編集した「MASTERS」に対し、「A.I.シリーズ」はフィリップ・スタルク氏のデザインの数々を AI が再編集した作品とも言えるかもしれません。

 

Supported by salone del mobile.Milano

Reported  by Akihiro Miyazawa  editor

取材・文/宮澤明洋 リアルキッチン&インテリア 担当編集&総合ディレクター 慶應義塾大学法学卒業後、小学館入社。FM誌「FMレコパル」を皮切りに、大人のための情報誌「ポタ」(首都圏限定)の創刊に携わり、その後、長く「DIME」を編集、編集長を務める。音楽、デジタルデバイス、ライフスタイル、歴史などの編集経験をふまえた多様な目線でキッチンとインテリアの世界を探索中。

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