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MilanoSalone2019 02

レオナルド・ダ・ヴィンチ生誕500年

2019.05.09 キッチンジャーナリスト 本間美紀&宮澤明洋

●ダ・ヴィンチ生誕500周年、中世の知能と最新デザインが街で出会う

Reported  by Miki Homma  journalist

【前回からの続き】

今年の私のミラノサローネレポートはちょっといつもと変わっています。家具のデザインや素材のトレンドがどう、、、という前に、インテリアや家具の産業が文化的に成熟しつつある、と感じた今回のミラノサローネでした。

また今年は、2018年に誕生した「ミラノサローネ・マニフェスト」に新たなテーマが加わりました。それが「INGENUITY(インジェヌイティ)」。日本語では「創意あふれるアイデア」とか「創造力」といった感じでしょうか。このキーワードはこれまでのミラノサローネの歩みを表すとともに、2019年の5月2日に没後500年を迎えた万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチへのオマージュでもあるそうです。ということでスカラ座での公式前夜祭のレポートから続く記事です。ミラノ市とデザインイベントが連携するというダイナミズムを感じて下さい。

15世紀の終わりと16世紀の初頭の2回にわたる約20年のミラノ滞在の間にレオナルド・ダ・ヴィンチが残した天才的作品群への敬意を示して、ミラノサローネでは2つの特別展示が行われていました。

そのうちのひとつ、「アクア:レオナルドのウォータービジョン」は、ミラノという街の文化や歴史と最新デザインはどう融合するのかという試みです。舞台となったのは、ミラノの歴史ある運河。ダ・ヴィンチによって設計された木製の閘門(運河の水量を調節する水門)が残るコンカ・デル・インコロナータ内でのインスタレーションです。

かつてミラノは「運河都市」と言えるほど水路が発達していましたが、1930年代頃から(ちょうど高度経済成長期の東京のように)水路は次々と埋め立てられ、1970年代末には一部を除き、その痕跡が消し去られました。しかし、2015年のミラノ万博以降、「運河都市ミラノ」を復活させようとする機運が高まりつつあり、ミラノ市でも再開発プロジェクトが推進されています。

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