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Special Issue
Palazzo Molteni Tokyo

ここは邸宅、パラッツォ・モルテーニ東京

2025.06.23 キッチン・インテリアジャーナリスト本間美紀

●この素晴らしい日本で、理解されないわけがない

モルテーニの顔として、プレスイベントなどの公の場に出ることが多いジュリア・モルテーニ氏は創業家の次女。現在はマーケティングを統括するCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)、大きくモルテーニの方向性を変えた女性としてイタリア家具業界で存在感を増しています。

アンドレア・モルテーニ氏(以下、アンドレア 敬称略)とジュリア・モルテーニ氏(以下、ジュリア 敬称略)はいとこの関係にあり、副社長のアンドレアはプロダクトマネージメントを担い、上手に役割分担をしています。

──二人のそれぞれの役割を教えてもらえますか?

アンドレア 私は現在、ジョバンニ(ジュリアの弟で製造部門の責任者)とプロダクトのマネージングに注力していて、あらゆるディテールに繊細な注意を払っています。モルテーニに合流する前は建築を学び、ノーマン・フォスターの事務所、フォスター・アンド・パートナーズで働いていたこともあります。モルテーニが抱えるオフィスやパブリック空間の家具ブランド「ユニフォー」にいたこともあります。家具と建築の融合はモルテーニの夢でした。

ジュリア モルテーニに入る前に、ニューヨークでイタリアのアパレルブランド「ロロ・ピアーナ」でマーケティングやコミュニケーションの仕事をしていて、本当に家具業界と違う考え方を知りました。フラッグシップストアのイベント担当で、本当に学びがあり、モルテーニに戻った時は全てをリストアして、ニューヨークでの体験をミラノで生かしたいと思いました。

アンドレア マーケティングの活動はジュリアが入ってから、本当に変わりましたね。製品も素晴らしいけれど、伝える力でそれが広がるんだと思いました。さらにクリエイティブ・ディレクターとしてヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン(以下、ヴィンセント 敬称略)が加わって、製品もお店もカタログもウェブサイトすべてが同じ世界観で語れるようになりました。

──「パラッツォ・モルテーニ」の発想はどう生まれていったのですか

アンドレア まずクリエイティブ・ディレクターのヴィンセントが、すべてのオーバービュー(全体の方向性)を決めます。モルテーニではヘルツォーク・ド・ムーロン、ジャン・ヌーベルなどの大きな建築事務所から、ヤブ・プッシェルバーグや深澤直人など個性の強いデザイナーまで幅広い顔ぶれです。

それが新しくどんどん増えるのではなくて、それまであったモルテーニの世界観にうまく溶け込んでいく。足りなかったパズルのピースみたいに嵌め込まれていくような流れをヴィンセントがつくっています。

今回のパラッツォはそれが体験できる場所にしています。今年から新しくクリストフ・デルクールの幾何学的なソファが加わりましたが、まるで昔からあったみたいになじんでいます。それを自然に導くのがヴィンセントなのです。

ジュリア モルテーニが目指しているのはグローバルなブランドになるということです。ヴィンセントとは世界中で展開できる空間の在り方を話し合いました。全ての国で同じ建築条件が揃うわけではない中で、どういったことを共通化させるか。キッチンとダイニングの組み合わせ、収納と建具が建築と一体になる見せ場を設けるなど、いくつかの共通点があります。

ジュリア そして失ってはいけないのがカルチュラルなポイント。ジオ・ポンティなどのヘリテージコレクションが映える場所をかならずつくること。それがフラッグシップストアの重心になります。これは私がニューヨークで学んだことが生かされています。古いものと新しいものを同居させる。これはトップ家具ブランドの世界では、当たり前のコンセプトになっていますが、ヘリテージコレクションは’’モルテーニらしさ’’をより強調しています。

──日本でモルテーニはどのように広がっていくと思いますか

アンドレア 日本ではモルテーニのディテールまで気を配ったものづくりが理解されると信じています。僕がどれだけ日本のデザインが好きか話し出したら、1時間は止まりませんよ。日本では何を見ても、小さなものでも、どんな素材がよいか考えて、きちんと選び抜いた素材を使っています。やりすぎくらいのこだわりがあるのです。さらにテクノロジーを使っている場合もあり、本当に驚いてしまいます。こういった文化を持つ国で僕たちの哲学が理解できないわけがないと思いますね。本当にリスペクトしています。

ジュリア 日本では建築家やインテリアデザイナーとの関係を築きたいと思います。日本の建築に採用されて、こちらも予想できなかったようなコラボレーションを実現してシナジーを生み出したい。現在、世界の135店のフラッグシップストアがありますが、できれば大阪、福岡にもパラッツォができると良いと考えています。

ジュリア 文化的なイベントやアート活動もブランドミッションの一つとして続けていきますが、2024年に発行したビジュアルブック「モルテーニモンド」はその象徴的なものでしょう。姉でありアートディレクターであるフランチェスカも関わっている、まさにモルテーニの家族とデザインの物語です。

これだけのストーリーが詰まっている「パラッツォ・モルテーニ東京」。外観はミニマリスティックな建築です。

ヴァン・ドゥイセン氏は「このプロジェクトを構想し始めたとき、建築的であり彫刻的でもある、モノリスのような建築物を作りたいと思いました。質量と空白を対比させ、静けさを保ちながら、幾何学的な建築言語で遊び心を表現しました」と話していました。

完全予約制の邸宅。モルテーニのストーリーを歩みを進めるたび、感じる場所。これまでの「ショールーム」の概念を変える画期的な場所が東京に誕生したのです。

取材・文=本間美紀
Report&Text=Miki Homma(Journalist)
Interview Photo=Yukinori Okamura 

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Molteni Mondo. An Italian Design Story モルテーニブランドの未来と今

MOLTENI&C

パラッツォ・モルテーニ東京
東京都港区南青山5-16-10
TEL. 03-3400-3322
www.molteni.jp
営業時間:11:00-18:00
定休日:水曜、祝日 <予約制>

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