『Molteni Mondo. An Italian Design Story』は、リッツォーリ・ニューヨークから出版されました。
モルテーニグループ・ チーフ マーケティング オフィサーのジュリア・モルテーニさんは、ニューヨークで学び、働いたこともあり、その人脈も存分に生かされているのでしょう。ハリウッド的なセンスのフォトブックです。私が注目したのは本のキャスティングと編集的な世界観でした。その1冊が私の手元にも到着しました。シルバーの帯が掛かっています。添えられたレターにはやはり手書きでの宛名とサインがあり、その想いまでが届きました。
本の始まりはニューヨーク在住のカルチャーライターであり編集者の、スペンサー・ベイリーが、イタリア本社の工場に立った感動からスタートしています。モルテーニのプロフェッショナルが一堂に集まる場所が彼にインスピレーション与え、そのまま編集アイディアに昇華します。「映画を見ているような本にしよう!」。
彼の目に映ったものは、ハリウッド映画の撮影スタジオのような臨場感でした。僭越ながら私も共感できるような気がします。というのも、2018年に私もモルテーニ本社の工場に行き、同じような感動を覚えたからです。
モルテーニの工場では、あちこちでデザイナーとのディカッションが起こり、各分野に秀でた職人が意見を述べ、手を動かす。そしてデザイナーの魂のこもった「コンテンツ」を制作するのです。本にはその臨場感が盛り込まれています。
その息吹を捉えようとスペンサーは、国際的なアーティストやキュレーターを起用し、同社の現在、過去、未来を、映画のような物語として展開しようと考えます。
起用されたのは、LA在住のフォトグラファー、ジェフ・バートン。彼がモルテーニとデザイナーの関係を、臨場感あるシーンで切り取っていきます。アートディレクションはチューリッヒのスタジオ・アッカーマン。