
●キッチン水栓のビッグニュース/ハンスグローエ
非常に多くの人が訪れたというハンスグローエのブース。そんな人混みの中、ここ数年のキッチン水栓の中でも、もっとも先進的なニュースと言える「M81」の先行発表がありました。これはシンクと水栓が連動することで、キッチンに新しい調理スペースを生み出すというものです。
スパウトのあるキッチン水栓の根元には、フラットでスクエアなもう一つの吐水口がついています。葉野菜や果物を洗うのに適した、柔らかく細い水流が広がります。細い水流はともすれば勢いが強くなり、針のような肌あたりになることも。けれどもハンスグローエでは水流の工夫を重ねて、食材を傷めずに洗い流せるやさしい水流です。
これはのちに登場するシャワー水流の研究成果が、キッチン水栓にも応用されたという技術の進化のたまものです。
実際に触ってみましたが、ほうれん草やサラダ菜なども大丈夫そう、というのが私の感想。料理しながらも気持ちが良さそうです。この水栓は水の流れがすごいだけではありません。専用の美しい木のカッティングボードや水切りプレートも同時に開発され、それを使うことでシンクが多様なワークスペースに変化します。
黒のフレームに金属のプレートがはめ込まれたパーツは、肉や魚を扱うのに適している上、コップやお鍋を伏せておけば水が切れるように工夫されています。フレームの手前はふきんを掛けておけるスペースもあります。日本製品のように細かい気の利いた使い勝手です。
キッチン製品のプロジェクトを担うリディア・ロンバッハさんによると「ドイツの一般家庭を訪問して、その行動を観察し、キッチンで不便な点を洗い出しました」と、徹底したユーザー目線で開発に当たったそうです。日本でも販売を検討中ということですが、日本の料理は野菜を洗うなどの水仕事が中心となりますので、リアルなニーズにかなった製品と言えそうです。今から日本デビューが楽しみです。