INTERIOR
Visiting Kartell Museo

モダン家具のブランドミュージアムを訪ねて

2023.07.27 キッチンジャーナリスト 本間美紀

⚫︎製品に人格を与えるコミュニケーション

1980年代になると、フィリップ・スタルクをはじめとするスターデザイナーがカルテルにデザインを提供し始める。日本でも本格的な販売が始まり、私がちょうどインテリア雑誌の編集部に入ったときは、日本でもおしゃれな富裕層が選ぶブランドとなっていた。

下の写真の赤いワゴンコンテナ「モビール」(1994)は、アントニオ・チッテリオのデザイン。発売当時は信じられないくらいスタイリッシュなアイテムだった。もちろんいまだに現役。

そして現社長のクラウディオ・ルーティがさらに手腕を振るったのが、プロダクトのプロモーションとコミュニケーションだ。彼はすべてのプロダクトに「個性」を見つけて、「人格」を与える。そしてそれに相応しい広告ビジュアルとコミュニケーションを用意する。

世界中のデザインファンが、新作が出るたびに待ち望んだのはこういったプロモーションビジュアル。ムゼオではそのビジュアルが一堂に見られる。

カルテルはコミュニケーションにも予算をかけ、力を入れ、プラスチックの生活雑貨のブランドではない、ストーリーのあるデザインブランドだと広く認知させてきた。この辺りは当時のアレッシィ(イタリアのステンレスツールブランド)も同じで、カルテルやアレッシィから広報用のポジフィルムが手元に届くたびに、新しい表現にドキドキした。

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