INTERIOR
Visiting Kartell Museo

モダン家具のブランドミュージアムを訪ねて

2023.07.27 キッチンジャーナリスト 本間美紀

[リアルリビング&インテリア スペシャルコラム]

7月28日発売の『リアルリビング&インテリア ISUUE 02』、誌面では伝えきれなかった家具やインテリアブランドのエピソードを4回にわたって公開します。今回はその第1回目。

1 モダン家具のブランドミュージアムを訪ねて
2 アップデートしたい有名ブランドの「いま」
3 日本ブランドの存在感とその先
4 バスルームや洗面も「ブランド」の個性で

⚫︎モダン家具のブランドミュージアムがある

その存在はずっと知っていた。けれどもなかなか行けなかったのである。


ミラノ近郊は家具のブランドの本社が集まるエリア。ミラノサローネ取材中もメダやジュッサーノ、時にはコモ湖の方まで、家具ブランドの本社訪問のお声がかかることもある。

その一つ「カルテル・ムゼオ」にもこれまで何度もお誘いを受けつつ、なかなか時間をとることができなかった。ふとミラノで時間が空いて、ずっと気になっていた場所に意を決してタクシーを飛ばしてみた。

急な予約にも関わらず、キュレーターのエリーザ・ストラーチェさんは、快く私を迎え、案内してくれた。


「ムゼオ」とはイタリア語でミュージアムの意味。1999年、カルテル創業50周年を記念して現社長のクラウディオ・ルーティ氏が本社内に創設した。ミラノ生まれのブランドとして家具ブランドが企業ミュージアムをを持つ。今思えば、なんと早い試みだったのだろうか。


創業者のジュリオ・カステッリは当時若き化学者で、その時代の新素材や技術に常に関心を持っていた。その知的好奇心が実はカルテルの始まり。そのことを存分に伝えてれるのがこの場所なのだ。


1949年創業のカルテルは、タイヤメーカー・ピレリ社の製造する弾力性あるコード「ナストロコード」を活用して車上用スキーキャリアを製造。しばらくはカーアクセサリー事業を続けていた。この事業で培った樹脂素材や工業技術を生活用品に転じたのが今のカルテルの始まりだ。

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