【本間美紀のコラム 2023/2/06】
「KITCHEN HOME」という動画メディアがスタートして、すでに4回目。現在はリアルキッチン&インテリアとのタイアップ版を公開中(視聴申し込みはこちらから)!
その経緯の後編です。前編はこちら。
今回は生まれて初めて動画メディアをつくることになった、心の内を振り返ってみたいと思う。
この動画メディア「キッチンホーム」は、インテリアコーディネーターの前田久美子さんをお相手に、キッチンの写真を見ながらコメントしていくシンプルなトークショー形式スタイルとした。
「リアルキッチン&インテリア」と近しいような、丁寧なメディアをつくろう。だから動画サイト的なボキャブラリー、煽る言葉、それ的なド派手なタイポグラフィやグラフィックは使わない。
流しっぱなし、聞きっぱなしでも心地よい動画としよう。見せているものは静画写真がベースだから、早送りしても見逃してちょっと戻っても、わかりやすい。
映像ディレクターとして大学時代の先輩・今井義朗さんに力をお借りした。リアルキッチン&インテリアのメインフォトグラファーでもある。単に撮影する人ではなく「メディアとは何であるか」をを理解し、つくる経験もあり、自ら動画取材もできて、映像の編集ディレクションまでできる。
スタート当初は私の言うことは映像業界の人間から聞くと、理解できないし稚拙なこともあると、意識の違いをすり合わせるところから始まった。
より良いもののために何度もディスカッションを重ねた。長い長いお付き合いだけど、この歳になっても、まだこんなに奮闘してもんどり打って話し合うことがあったんだとお互い思っている。
たとえば映像のフォントでもリアルキッチンで好む明朝体は映像業界では敬遠される。わずか数秒のうちに強いインパクトを与える派手目のゴシックやアイコン的な表現が好まれる。でも私は品のいい明朝体とキーワードで行きたいと考える。
映像でパッと理解できる言葉と、本で理解できる言葉は、まとめる長さや抜き出し方に違いがある、と今井さんからアドバイスを受けながら、何度も仮編集映像を視る。
最初は苦痛で仕方がない。
見たくもない自分の顔と聞きたくもない自分の声。
これを何度も見ながら視聴者のためになる言葉を拾い出し、キーワードにまとめ、タイムコードともに記録していく。
この作業になかなか立ち向かうことができず、慣れるまでに半年以上はかかった。