ハウスヴィジョン展で見つけたキッチン

●必要最低限の家のシンプルキッチン

暮らしに必要最低限な要素を、スクリーンで囲んだような家が「の家」。のの字型にぐるぐる回ったような家です。お風呂とキッチン、トイレ、お風呂の上が寝室になっています。キッチンは明るい木のワークトップで、家具のよう。狭い空間ではオープンキッチンが住まいの中で大きなボリュームを占めます。素材を揃えることで、優しく空間になじむキッチンになっています。人工大理石の白いシンクとグースネック型水栓金具の組み合わせは、間違いない安定感。リアルに参考になります。

また吹き抜けがある家などでは、キッチンの上からの見た目も大切。これは寝室からキッチンを見下ろしたところ。とてもすっきりして、空間に馴染んでいます。建築家の永山祐子さんとパナソニックのプロジェクトで、家の内側の壁はすべてスクリーンで映像などで情報が得られます。Iot化した家と言えます。キッチンの前の壁で料理動画サイトが見られると楽しそうですね。

同じ木のキッチンでは吉野杉の家のキッチンも良かったです。Airbnbと建築家の長谷川豪さんが奈良県の吉野杉で作った、地元とつながるコミュニティハウス（昔風に言えば公民館？！）。ふわっと木の香りがするキッチンはどこか懐かしい感じ。

この家は展覧会の終了後に吉野に移築されて、実用化されます。エアービアンドビーのサイト通じて予約、宿泊ができるそうです。実際に使うことで、キッチンへの夢が具体的になりますね。この家の２階には落ち着く寝室もありました。気持ち良さそうです。

展覧会ディレクターは原研哉さん。日本を代表するクリエイティブディレクターで、会場は個性のある才能を起用しながらも、統一のとれた会場に驚きました。東京ビッグサイトやお台場など夏のお出かけのリストに是非加えてみてください。

本間美紀