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Milanosalone&MDW2024 01

あなたは誰?と改めて問われる

2024.05.22

・情報量が増えた−そこに宿るもの

そして今年はサローネの開催前から、たくさんのプレスリリース(ジャーナリスト向けに提供される事前情報)が届きました。

正直、プロダクトそのものの情報は予習をしてゆき、現地ではそれを実際に感じたり、触れたり、デジタルでは伝えきれない何かを感じることに時間を使ってほしい、というメッセージを感じました。

そういった情報発信の仕方にも企業のコミュニケーションマネージャーやPR会社の個性と哲学の差が出ていました。

ミラノサローネ国際家具見本市の発信も非常に充実しています。コロナ禍以降、世界のインテリア雑誌の編集者やジャーナリスト出身者がPRやオウンドメディアのチームを構成しているため、正直、一つのメディアとして機能するほどの充実ぶりで、読み応えがあります。定期的に配信されるニュースレターを読んでいると、サローネにいかずとも素晴らしいブランドや製品の数々に出会えるほどでした。

さらに会場は着任4年目のサローネ代表、マリア・ポッロが本格的に手腕をふるい始めました。一つは会場での動線の負担を減らすこと。その試みの一つとしてキッチンとバスのホールにだけ、動線短縮のレイアウトを試みました。

イタリアの建築・エンジニアリング界をリードするグループ、「ロンバルディーニ22」に依頼し、見本市の分野で初めて神経科学に着目し、展示や休憩エリアの配置に対する来場者の神経学的、感情的、知覚的反応を分析し、リング状レイアウトを採用。全ブースを回ると1.2kmとなるルートを640mに短縮した、と発表しました。

実際どうだったか? 正直に告白すれば、私もまだわからないのです。ただこういった試みをしているよ、と事前に強く何度も情報を出していました。そしてそのフィードバックがほしいと世界的なサーベイも行われました(私のところにもサーベイが来ました)。

ただ行って疲れたと不満を言うのではなく、私たちはこのように試みている、あなたはどう感じたか。そしてその結果をどう活かしていくか。それが問われたのです。ミラノサローネの取材や視察は観光ツアーではありません。お互いが関わり合い、磨き合っていく、インタラクティブな場として成長しているのです。

情報と体験はこのように結びついていくーそれが事前情報を知る大切さだと思いました。

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