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ambiente2020 01

「サスティナビリティ」の時代始まる

2020.02.28 キッチンジャーナリスト

●バイオプラスチックが当たり前に

生分解性の樹脂やアップサイクルマテリアルを、生活に普通に取り入れていく。多くのブランドが、そんな提案に力を入れていました。高度成長期に新素材だったプラスチックの立ち位置は今後変わっていくような気がします。

デンマークの生活雑貨「RIG-TIG」。子ども達が触れているのは、生分解性プラスチックでできたプランター。竹の繊維、コーンスターチや松ヤニが主成分です。その中に樹木の種が仕込まれています。従来のツルツルしたプラスチックではなく、すこしざらりとしたバイオプラスチックの感触を小さいうちから慣れさせようという意思を感じます。

土を入れて育てて、プランターからはみ出るほど育ったら、ポットごと庭へ埋めます。森をつくる体験と、プラスチックは土に還るものという体験を同時に学べます。

同じくデンマークの「エバソロ」は麦由来のバイオウェストからのプラスチック「whear fiber」を使い、北欧らしいデザインのキッチンツールを提案。ハーブを刻む。果物を絞るなど、野菜を中心にした食生活で使いやすい新シリーズです。

生成りの色合いと、やや精度の荒い感じがわら半紙(懐かしい言葉!)のようなプラスチック。以前はこのようなプロダクトは「環境に配慮した製品」というジャンルでしたが、これからは「当たり前の選択肢」になっていくと感じました。

アンビエンテ会場における、環境に配慮した生産、公平な雇用に基づいた製造をベースにした企業は全体で27%増えており、これからのデザイン企業の主流になると主催者は見ています。

サスティナビリティは持続可能と直訳されますが、私は「長く続けられて、めぐりまわり、わかちあえるもの」と解釈しています。また良い時も悪い時もありますが、それを長い目で見て均して、醸していけること。ドイツというお国柄か、そんな潮流をこれまで以上に強く感じました。

02に続く

 

取材・文/本間美紀 Miki Homma/Journalist

早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多く、セミナー活動も増えている。著書に「人生を変えるインテリアキッチン」(小学館)、「デザインキッチンの新しい選び方」(学芸出版社)「リアルキッチン&インテリア」(小学館)

アンビエンテ国際消費財見本市
次回会期:2021年2月19日〜23日
会場:ドイツ・フランクフルト国際見本市会場
視察出展問い合わせ:メッセフランクフルトジャパン TEL03-3262-8444
www.ambiente.messefrankfurt.com/

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