●プロダクトの詩情と基本を守る
アレッシィの製品はとてもフォルムが個性的です。それは2つのアプローチから考えられています。まずは現代の建築やインテリア、ライフスタイルに適うプロダクトであるかどうかを重視します。一方で伝統的な生活用品や世界の道具の膨大な研究し、基本を大切にしていること。今回はそのアーカイブが残るアレッシィミュージアムに入ることができました。
ヨーロッパの家庭では家族で受け継がれる銀食器のセットやコーヒーマシンのサンプルコレクション、またはダリのスケッチなど、珍しいものばかり。これは社内外に大きなインスピレーションを与える場所になっています。
建築家とアレッシィの対話で生まれた世界的にも有名な製品がレモン絞りの「ジューシー・サリフ」でしょう。
これはフィリップ・スタルク氏が家族とバケーション中にイタリアのトラットリアでシーフードを食べていたときに生まれたもの。イカを食べていてレモンを絞るものがなかったので、そこで思いついたそうです。その時、スタルクはさっとテーブルの紙マットにスケッチをしたそうですが、そのスケッチがここに残っていたのです。
ストーリーのあるプロダクト。できてしまったものをみると簡単ですが、これができるまでには何度も試作があったと想像できます。
またアレッシィは単品では世界観が成立しないものも少なくありません。写真のソルト&ペッパーやオリーブオイル差しは、テーブルの上に街並みをつくるように考えられています。
テーブルウェアもお皿一つ、カトラリー一つで見ればシンプルすぎるかもしれませんが、上から見るとアートのよう。どんなインテリアや建築にも似合うモダンさがあります。例えば大理石や重厚な木のテーブルトップに置かれた様子をイメージしてみてください。
次ページではついに会長のアルベルト・アレッシィさんが登場します。