KITCHEN
Dear Grandma kitchen

ドイツの斬新なバリアフリーキッチン

2016.08.19 本間美紀

キッチン&インテリアジャーナリストの本間美紀です。前にドイツで見つけた、なんとも不思議な工場のワークテーブルみたいなキッチンを紹介しましょう。ドイツの見本市に出展していたディルク・ビオットさんはベルリン在住のプロダクトデザイナーの試作品(プロトタイプ)です。

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「90歳になる、自分のおばあちゃんとの暮らしの中で、着想したキッチンです。年をとるにつれ、食事をつくるという人間にもっとも大切なことがしにくくなっている彼女を見て、キッチンがその解決になる…と考えたのです」とディルクさん。

みずから腕に重しを付けたり、ゴーグルを付けて視界を遮ったり、車椅子に座り、体に負担を与えながら料理を試み、その経験を緻密に書きとめ、デザインに起こしていったそうです。その成果が車椅子でも寄り付きやすい、ワークテーブルみたいなキッチン。

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木のカウンターは使う人にあわせて高さが調節でき、調理道具は一番手の届きやすいところに吊るすことができます。ワークトップがそのままマナ板代わり。切ったパンを入れる場所もあります。

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また隠したりしまったりする収納をなくすことで、食器や道具がどこにあるかわかりやすく、介助に来た人など、初めて来た人にも、ものの位置がわかります。

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重いものを持ち上げて洗うのは大変なので、ホースを伸ばして湯水は手元まで引き寄せられます。

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野菜を切るのは、力がなくなると意外と大変。そこでキッチンにグレイターをはめ込めるようにして、作業の軽減化をはかっています。

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手の力が弱って瓶の蓋が開けにくい場合は、右側の万力で挟んで、、、、、、でもそれ、むしろ大変かも?と思うのは私だけでしょうか。

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もちろん、このアイディアがすべて現実に実効するわけではありません。でも彼の体当たりの試みには、未来への可能性が秘められています。「特定の人だけではなく、誰もが集まれて、気兼ねなく使えるキッチンであることが一番ですよ」とは彼の言葉です。「料理する」ことの基本がキッチンに一体化されているようで、心に残りました。

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http://www.dirkbiotto.com(日本では取り扱いなし)

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