『REAL KITCHEN & INTERIOR』では、これまでにたくさんの実例を紹介してきました。単行本『人生を変えるINTERIOR KITCHEN』はこれまでの取材を集大成した1冊。
家やキッチンの大切さについて考える人も多い今、連載形式でこの単行本の内容を本サイトにて無料公開いたします。その13回目。夢をかなえたインテリアキッチンのストーリーです。
●キッチンで響き合う何かを求めて
和紙のような淡い色合い。くすんだような金属の輝き。光を溜めるような塗装のつや。
まったく違うような素材でありながら、かなめさんの心の中では、それがひとつに溶け合っています。
そんな思いを空間にしたような場所が、キッチンダイニングとリビングでした。
ダイニング側のペニンシュラキッチンは、床のウォルナット材になじませた、アンティークのようなくすんだ金色に見えます。
──キッチン扉のシルバーブラウンという色は初めて知りました。
「ブラッシュドアルミのシルバーブラウンといって、自然光が当たると金色のように明るく、夜はシルバーのように落ち着きます。角部が少し柔らかな雰囲気に仕上げてもらいました。素材感が豊かなのに傷もつきにくいし、愛着を持って使うことができます」
──はかないような、強いような表情を持ちますがいかがですか、素材の質は?
「和紙に金粉を刷いたようなマットな表現です。ワークトップはセラミック。セメントグレーのサテン仕上げです。何色ともいえない不思議な色が重なる色合いは、わが家のステンドグラスともよく調和しています」
──ステンドグラスですか?
「わが家は窓や壁、ポイントになる位置にステンドグラスを使っていますが、色合いはすべて作家の櫻井弓子さんにお任せしました」