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MDW Impression on Kitchen

ミラノのインタビューから思うこと

2026.07.06

・ミラノでのキッチンブランドのインタビューを掲載中です

ご無沙汰しております。久々のコラム更新。

現在「リアルリビング&インテリアISSUE05」の制作中で、今週はついに校了、印刷へ。国内外の取材で出会ったブランドのそれぞれの世界観をもった広報素材を、現実の取材を通して編集するインテリアムックはついに5冊目を迎えます。ということで、6月後半はアップアップしておりました、、、、。まだ今日も続いてる。

そんな中、このウェブサイトでも、ミラノデザインウィークで出会ったキッチンブランドのインタビューやドキュメンタリー取材も並行して走っています。多くの人がそうするように、私も走るように多くのブランドのブースやイベントを分刻みで見ます。

しかしきちんとアンカーを沈めます。それがキーパーソンへのロングインタビュー。というかその碇の合間のすきまを縫って、細かなところを見るのです。

それは日常の生活でも同じで「視座」や「問いかけ」がないと、何をみて情報は温度感を持たない。言葉は滑っていくからです。

本日の時点でドイツのジーマティック(キッチン)、ガゲナウ(ビルトイン機器)、イタリアのバルクッチーネ(キッチン)、スナイデロ(イタリア)、そして日本のマイスデル(カリナリーキッチン)の5社の記事を掲載しています。

潜在意識の中を探ってキッチンに

ジーマティックは非常に機能的でありながら「暮らしの中の五感」をサポートする細かなディテールを、「機能の先にある使う人それぞれの潜在意識の中に潜む、本当に欲しいものを形にすることです」と説明していました。便利です、とは言いませんでした。

ジーマティックの記事はこちらから。

・哲学を変えずに継続する

バルクッチーネは社長が若い世代に変わりました。同ブランドは78歳になるガブリエレ・チェンタッソ氏が1980年代からデザインしてきたプロダクトをほぼ変えることはありません。若き社長がどう手腕を発揮するのか、インタビューを受けてくれました。

「バルクッチーネのコンセプトはトレンドとは全く関係ないところにありました。今日美しいものは、10年後も美しい。だから創業者のガブリエレはミラノサローネを一度も見たことがありません。なぜかというとトレンドにも基づくものではないからです。『私たちは『長い時間をかけて築き上げる美しさ』というコンセプトに取り組んでいます。」と話す新社長氏。

新しくきた人はすぐに何かを変えようとする、変えなけければ仕事をしていないように思えてしまう。けれども新社長は冷静にブランドをとらえ、「確かな哲学の継続」をもって事業を継承しています。

バルクッチーネの記事はこちらから。

・現実を遮断して「今」を注視させる

ガゲナウはともすれば機能や技術に走ってしまいがちな家電の世界の中で、現実を断ち切る展示を行いました。回るくどいほどの砂利道をじゃりじゃりと歩くと、入り口でさっと「お出汁」のウェルカムドリンクが差し出される。舌の食感、足裏の触感、砂利を踏む聴覚を経て、神殿のような静寂な空間にたどり着きます。

心をさっぱりとさせてから、製品にむきあってほしい。このミニマリスティックなアプローチは年を追うごとに洗練されていきます。すべての情報を遮断し「ガゲナウの今、ここ」に集中する。彼らはそのための時間と空間を用意していたのです。

まさにセカセカと分刻みで見る人が多い期間、一度、雑念を遮断するのは、日本的な考えかもしれませんね。

ガゲナウの記事はこちらから。

・イタリアブランドは「人」が重要

スナイデロはこれまで、メジャーブランドとして知られ、その功績を国が讃えて今年は切手の絵柄になったほどの大手ブランド。数多くのキッチンをそろえる全方位型のブランドでした。ところが最近は少し様相が変わってきた。そう思ったら、やはりその裏にはキーパーソンがいました。

クリエティブ部門にボッフィやリビング・ディバーニなど錚々たるブランドを歴任した人物が入り、デザインやプロダクトの整理を始め、ハイブランドのニーズにもこたえるブランドとしてステップアップを図っています。東京でもショールームがオープンし、これから期待できるイタリアブランドがまた増えました。

スナイデロの記事はこちらから

・日本からの勇気ある出展に拍手喝采

そして日本のマイスデル。日本からミラノに行く人は多くても、ミラノに出展する人は少ない。特にキッチンはこの数年は皆無だったと言っていいでしょう。それが二人の女性を中心にしたチームが果敢に挑戦。ミラノ市街のトルトーナ地区に出展を果たしました。

「料理に特化したカリナリーキッチン」という世界の評価を得て、まずは舞台に立ったということが、私を強く感動させました。今回、最も価値のあるストーリーだと思います。

マイスデルの記事はこちらから

・取材を受ける側も「対話」の準備をしている

私自身も感動したのは、いずれの会社も大変多忙なミラノデザインウィーク期間中に、インタビューの時間を確保してくれたこと。そして事前の質問をちゃんとすべて目を通してくれていて、きちんと考えていてくれていたこと。

また中には「これまでたくさんの取材を受けてきたけれど、今までの中で一番、賢くて良い質問だった」とこちらの質問を誉めてくれる人もいて、どれだけ深く私の質問ーつまり問いかけを受け止めてくれていたかを知りました。

「対話」が重要。誰もがそう言います。けれども対話もしなければ、問いかけもなく、答えも曖昧。そんな人も正直少なくありません。365日の中のたった30分、その時間でこれだけの記事が書ける濃い言葉をくれた彼らは、やはり世界のトップビジネスパーソンであり、インテリアやキッチンの世界を深める人たちでした。

さて、長くなってしまいましたが、ぜひすでに公開された記事をお読みいただければと思いますが、今月も記事は続々と続きます。トレンド分析ではありませんが、一人一人の言葉から、何を汲み取っていただければ幸いです。

そして7月29日は「インテリアインスピレーション2026」セミナーが開催されます。お申し込みと詳細はこちらから

インテリアインスピレーション2026

取材・文/本間美紀 早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多く、セミナー活動も増えている。著書に「人生を変えるインテリアキッチン」「リアルキッチン&インテリア」(以上小学館)、「デザインキッチンの新しい選び方」(学芸出版社)。

Report& text=Miki Homma(Journalist)

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