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贈り物下手の奇跡

2026.03.17

つい最近のこと。とあるオーダーキッチンのショールームから、オープン10周年のお知らせが届いた。遠方なので、足を運ぶことはできない。

でも近くに、センスの良い花屋さんがあるのを知っていた。そこにお願いすればきっと素敵な花になるだろうと思ったのだが、調べてみるとホームページが見つからない。それなら今回は見送ろう、と決めた。お祝いの日は花もたくさん届くだろう、と自分に言い聞かせながら。

そんなことを思いながら、ふとその人の人柄を思い出した。まず、とても明るい。ぱっと周囲を照らすような華やかさがある。でも薔薇のような艶やかさではなく、どちらかといえば太陽のような明るさだ。

そして感情が豊か。
嬉しい時も、悔しい時も、怒っている時も、顔に出る。時にはちょっと恥ずかしい話も、笑い話にして打ち明けてくれる。そんな人が、10年ショールームを続けてきた。その矢先、富山に出張する機会があった。

富山は日本一のチューリップの生産地だという。チューリップは太陽の光を受けるとぱっと開き、光がないときは静かに閉じる。開いたり閉じたり、毎日表情を変える花だ。明るくて、感情豊か。あの人に似ている、と思った。

しかも、生産地から切りたてのチューリップを50本、ランダムで送ってくれるという。アレンジメントではなく、花そのものの姿をそのまま届ける。50本のチューリップなら、受け取った人が自由に飾れるし、スタッフと分け合うこともできる。そんな花をざっくりと送ることにした。

2ヶ月遅れのお祝い。それでも彼女はとても喜んでくれた。ショールームのあちこちにチューリップを飾った写真が、次々と送られてくる(今回紹介の写真です)。その明るさは本人そのもの。

贈り物下手の私には10年に1回しか、こんなにはまる贈り物は選べない。
でも実は、それを引き当てたのは、おそらく10年頑張った彼女の人徳。

コラム=本間美紀(キッチン&インテリアジャーナリスト)
Text=Miki Homma(journalist)

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