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Our Home, A Private Resort
ホテルライクハウスの知的なキッチン
●インテリア本を“体験”する
従来のインテリアカタログでも、実例紹介でも、海外の展示会レポートでもなく、伝わりにくいことを、何とか伝えようとしている、この本。
普通の雑誌なら人目を引く写真をどう配置するかを考え、次にその写真をパッと見て「知りたい」と思うことを、大きな文字で書かれている見出しやキャッチに入れ込みつつ、読み進めたい気持ちをアオる、というようなことをするのですが、本誌ではしていません。
この「リアルリビング&インテリア」にはそうした“手練手管”が用いられていません。本間はこれを“「無音」で表現する”といいます。とても静かな誌面です。
この静かな誌面に掲載された美しい写真をじっくりと、すみずみまで見て、テキストを読み、また写真をつくづくと見る。
そうすることで、初見では「へえ」という感想しか持たなかった写真が、徐々に生き生きと見え、脳内で立ち上がり、この空間に身を置いているかのような感覚を味わうことができるでしょう。
そして、自分の部屋、あるいはこれから建てようとしている家、リフォームを予定しているキッチンなどのイメージが沸き上がってくることでしょう。世界トップクラスのデザイナーやフォトグラファー、スタイリストたちが、どうやってこの1枚の写真をつくりあげたのかも、推理できるようになるかもしれません。
さらには、インテリアショップで気になる家具を見かけたとき、雑誌で新しいチェアの写真を見たときなどに、それがどんな空間に置かれるとより魅力的なのかを自然に想像できるようになります。
眺めるだけでなく、体験する。この本は、それを要求し、提供します。