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Our Home, A Private Resort
ホテルライクハウスの知的なキッチン
●どうやって、この本をつくったのか。
その「なんか、いい!」は、人々の心に一瞬だけ触れて、すぐに消え去ってしまう微かなものでもあります。本間は、毎年訪れるミラノサローネや世界中から毎日届くプレスリリースなどで、天文学的な数の家具や空間を見ています。なんというか、“「いいね」慣れ”しているわけです。
しかしながら、それらの中でもひときわ「なんか、いい!」と感じさせるものをスルーせずにガッチリと両手でキャッチし、伝える。これが、インテリア・ジャーナリストとして本間がしてきたことです。
今回はさらに、それを解きほぐし、噛み砕いて、その核となる「なぜ、いいのか」を取り出して見せることを目指しました。
そのためには、従来の構成、つまりテーブル、チェア、チェスト、ラグなどといったアイテムや、カッシーナ、モルテーニ&C、B&Bイタリアといったブランド、モダン、ノルディック、インダストリアルなどといったイメージで分類して紹介するスタイルは採用できませんでした。
代わりに、この本の大半を「インスピレーション」という項目に費やしています。
加えて、単体の家具を紹介するだけではそれこそこぼれ落ちてしまう「なんか、いい!」を伝えるため、イタリアで発表されたものの日本展開では使用されないイメージ写真について、画像借用や掲載許可を求めるために本国のプレスと直接交渉する、といった地道な努力も行なっています。
こうして、この本はつくられました。