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BRIAN ENO AMBIENT KYOTO

音と光の空間芸術、ブライアン・イーノ展

2022.06.24 リアルキッチン&インテリア編集部

●オーディオと建築が一体になる

ブライアン・イーノは環境音楽という新しい音楽のジャンルの開拓者であり第一人者として世界的に有名ですが、インスタレーションも実験的です。今回の展覧会で体験できるイーノの作品は世界初公開の作品を含めて全部で5つ。会場内で流れるオーディオも作品の一つです。

特に興味を惹かれた作品は”The Ship”

真っ暗な広い空間にスピーカーが数台設置されていて、五感の中の視覚を奪われた状態で体験できます。

photo by So Hasegawa

この作品はタイタニック号の沈没、第一次世界大戦、そして傲慢さとパラノイアの間を揺れ動き続ける人間をコンセプトの出発点としたもので、音楽とインスタレーションと作曲というイーノの仕事の主となるものが集約されています。

空間内にはイーノの2016年の名盤『The Ship』が流れているインスタレーション。これは四方八方にスピーカーが設置されていて、自分がいる場所により聞こえてくる音の強弱が変わるのです。

photo by So Hasegawa

空間の中心には椅子が設置されていて、そこに止まり鑑賞しても良いし、空間を歩き回り、観賞するのも、どちらも聞き手次第。

何かボソボソと言っている男の声。

女が何か話している声。

心地よく広がる音。

何かが軋むような音。

鐘の音。

色々な音が入り混じっている空間の中、均一が保たれている。それはまるで、the Ship のテーマの一つタイタニック号が沈没した海底にいるようでした。

聞こえてきた人の声に感情を捉えることはできないが、魂の悲痛な叫び、残された人々の葛藤の声なのでしょうか。

目を瞑り耳を澄ませると、自分が今ここにいることすら空間に溶け込み、作品の一部になる気がしてきます。

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