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Milanosalone2019 03

新ゾーンSプロジェクトを見る

2019.05.13 キッチンジャーナリスト 本間美紀

●マルニ木工が受けた世界的な評価

この「Sプロジェクト」、デビューするやいなや、たちまち誰もが入りたい憧れゾーンとなったわけですが、その中で大きな出展面積で「顔」となるブランドとして誘致を受けたのが、日本・広島のマルニ木工でした。

その世界的な販売戦略とブランディングを担当するマルニグローバルブランディングの神田宗俊さんからの、興味深いコメントを紹介します。いろいろな意味でミラノサローネ国際見本市のスタンスを読み解く鍵になる言葉です。

【maruni/マルニ木工/日本】

ーSプロジェクトの誘いはいつ頃あったのですか?

「2018年の夏に誘いがあり、大きなチャンスだと感じました。ただ、Hall 16は(Hall 20と合わせて)誰もが知るトップパヴィリオン。そこを離れる程の価値がS.Projectにあるかどうかは最後まで悩む部分でした。しかし、他に名を連ねている参加ブランド達の中に、同じステージで活躍するブランド達が多く存在したので、S.Projectへの招待を受け入れる事を決意しました」

ー結果、どんな位置付けでの出展となったのでしょうか?

「価格帯的には丁度他の北欧ブランド達と同じ様な位置付けで捉えられていた様子です。ミラノサローネは世界的に活躍するブランドを良く見ている。同じ新興ブランドでも、世界的に展開を広げる事が出来ているところとそうでないブランドを、かなり正確に認識している様子でした。当社のプロジェクト(コントラクト案件)も代表的なものはチェックしてくれており、例えばロンドンのNew Tate Modern案件や、パリ・モンマルトルのTerrace Hotel案件、シンガポールのQantas案件などは先方が気づいてくれていたのです

ーレベルの高いプロジェクト物件に対応できる企業かどうか、芯のある審査があったんですね。

ー決め手となったプロジェクトはなんでしたでしょうか?

「しかしどこまで行っても、やはり決定打となったのはApple Park Projectでしょう。Apple Store Milano案件が最後の背中押しになったのかも知れない。シリコンバレーを中心に、欧米の著名企業がオフィスとリビングの垣根を低くし始めている現在、元々リビング側で活躍していた木工家具ブランドがプロジェクトに携わる機会が増えてきました。S.Projectに北欧ブランドやマルニ木工が多数含まれているのがその傾向を顕著に表しています。この流れは今後益々加速し、日本国内でも同様の考え方が浸透してくるものと考えています」

(インタビュー本間美紀 / 回答 神田宗俊 マルニグローバルブランディング社長)

【Sプロジェクトに参加した66社】

Abet Laminati, Alki, Amini, Anour, Antolini, Antonio Lupi, Atelier Vierkant, B&B Italia, Boffi Living, Budri, Carl Hansen, cc-tapis, Citco, Cleaf, De Castelli, De Padova, Dedar, Editions, Effegibi, Emeco, Ercol, Ercuis, Expormim, Exteta, Extremis, Florim Ceramiche, Flos, Fredericia, Fritz Hansen, Gibus, Gloster, House of Finn Juhl, Imperfetto Lab, Inkiostro Bianco, Jannelli e Volpi, José Martínez Medina, Kristiina lassus, Kvadrat, Laminam, Londonart, Louis Poulsen, MA/U, Maruni, Massimo Copenhagen, Missoni, Muuto, Nero Sicilia, Nikari, Olivari, Pratic, Radici Pietro, Raynaud, Rex ‒ Kralj, Rosenthal, Roversi, Rubelli, Sambonet, String, Sunbrella, Tabu, Tecnografica,

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取材・文/本間美紀 早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多く、セミナー活動も増えている。著書に「デザインキッチンの新しい選び方」(学芸出版社)「リアルキッチン&インテリア」(小学館)

ミラノサローネ国際家具見本市 日本公式サイト http://www.milanosalone.com/

Photos=Courtesy by Salone del Mobile.Milano
AR:Alessandro Russotti/AM:Andrea Mariani LF:Luca Fiammenghi

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