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Our Home, A Private Resort
ホテルライクハウスの知的なキッチン
取材当日は期せずして、美春さんが昼食を用意してくれました。
土鍋で炊く秋田米のご飯に、青々と光るイワシの塩焼き、出汁に浸した生のジュンサイ。杉の折敷におかずが並べられ、ご主人がお料理に合わせた秋田の美酒を選びます。
美春さんは柔らかな表情の優しい雰囲気の女性です。料理をする様子を見ながら、そんな彼女がブラックステンレスというハードな素材を選んだ理由を聞いてみました。
「私一人のセンスだと可愛く甘くなり過ぎてしまいます。そのバランスを取って、とお願いしました。リノベーションなので既存の柱や壁があり、制限もあったのですが、建具やキッチン、天井の高さのバランスで、空間にシャープな線を引いてもらったという感じです。リビングは特にやさしさを出しました。だからキッチンは反面、シャープなブラックステンレスにこだわりました」
一方で、背面のガラス扉キャビネットがとてもエレガントです。
「ブラックステンレスのキッチンに合わせて、佐藤さんがスモークガラスのフレームドアの収納を建築側で造作してくれました。若い頃に洋食器は一つのブランドでそろえ続けようと決めました。ロイヤルコペンハーゲンと心に決めて、20年かけて集めてきたものを飾っています」
艶感のある細い脚のミニマルなテーブルは、イタリアのポッロ。つやのあるブラックガラスの天板です。好きな生地で張り替えた『グビチェア』や雑誌で見つけたアンティークの椅子を組み合わせています。