KITCHEN
ISH2019 report

寄稿コラム:プロの目でISHを見る

2019.03.29 アムスタイル 清水克一郎 |Katsuichiro Shimizu

●水流の質

ハンスグローエのブース。ブースというより建物ひとつ使い切っているのでホールですね。音と映像が溢れ、ISH最大級の人の流れ。このブランドの今回のテーマのひとつ、それは水質ならぬ「水流の質」のようです。

大口径のレインシャワーヘッドの吐水口は針の穴のように小さく、しかしながら必要な水圧を保ち、かつ肌にあたる感触は優しいものでした。どのようにこの感触を生みだしているのでしょう。

そこには従来の水圧の強弱をベースにした発想とは異なる「水流の質」をコントロールする技があります。

数百はある直径5mm程度のノズルには3つの吐水口があり、その吐水方向はわずかに末広がりに。さらにヘッドの形状。従来は平面か球状だった形状を内側に婉曲させ吐水の方向をクロスさせています。
すると放たれた複数の水流が交わり、肌に当たる前に空気を巻き込んだ粒を形成するのです。その粒を含んだ水が肌に心地良い感触を生み、水圧だけではコントロールできない「水流の質」を実現しているのです。

ハンスグローエではこの機構をキッチン水栓にも搭載し発表しました。リラクゼーションがテーマのバスシャワーから手際と味がテーマのキッチン水栓へ。ハンスグローエは姿かたちのデザインでは語れない次元の課題を解決しつつ、その未来を僕らに投げかけているのです。

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