KITCHEN

ISH2019 report

寄稿コラム:プロの目でISHを見る
2019.03.29 アムスタイル 清水克一郎 |Katsuichiro Shimizu

●革をなめすように

ドイツのドンブラハ・グループに属し洗面ボウルやバスタブを中心に展開する“Alape”というブランド。ふたつの同じ形の置き型洗面ボウルが目に入ってきました。

ひとつは内側がホワイトで外側がブラックのもの。もうひとつは全面がメタリックに鈍く光るもの。いずれもスチール製。その鉄の風合いはまるで革をなめしたようにしっとりとしています。おそらく洗面ボウルとして成立する鉄の強度限界近くまで薄く仕上げているのでしょう。

かたち作りのフィニッシュは手作業なのでしょう。表面がすべてに均一というわけではありません。でも滑らか。だから愛せる。一目惚れですね。表面加工はVITRIFIED〜ガラスコーティングのようです。手触り?わずかな凹凸が指先に残ります。色合いと感触が混然一体となった魅力。このボウルは今回のISHの中でも随一な質感をもつプロダクツでした。

アムスタイルが手がけているキッチン家具の分野でも「感触」はキーワードのひとつです。素材の耐久性はむろんのこと、色柄、組み合わせ、「カタチはこれで、あとで素材を選びましょう」なんて安易に言わないようには心がけていますが。

現実はそう頻繁に新素材が登場するわけではなく、僕らに問われているのは既存の素材を製品の到達点に向けて適切な技術を選択し徹底的に加工しきれるのか、あるいは使いきれるのかということなのです。けっして素材選びの妙では完成度は上がらないと思っています。

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