
●名作家屋のスペースを存分に活かしたアートな展示
見どころは家具だけではなく、「九段ハウス」の地下から3階まで、和室、テラス、階段のホールやリビング、ボイラー室、バスルームまで、「家屋」というスペースを存分に活かした展示空間で、こんなにフリッツ・ハンセンの家具をたっぷりと見られる機会がこれまで日本ではなかったように思えます。
地下の蔵の一室に畳を敷き詰め、デザイン当時の1952年は実現できなかったポール・ケアホルムの成形合板の家具「PKO」を展示。
プレス内覧会当日はあいにくの雨でしたが、その薄暗さも北欧と日本に共通する「陰影の美」を感じさせ、見慣れている家具であっても、新しい表情を発見できた時間でした。
古いボイラー室にぽつんと置かれた「グランプリチェア」。こういったシーンを見られるのもの今回の展示の魅力でしょう。
スパニッシュコロニアルのスタイルが伝わるテラスには、歴代の名作チェアが並びます。
3階ではデンマークで撮影されたPKシリーズやセブンチェア の製作秘話も放映され、思わず見入ってしまう面白さ。「アルファベットソファ」にゆったりと腰掛けてみることができます。また、庭園や屋上では2021年にフリッツ・ハンセンが傘下に収めたアウトドア家具ブランドSKAGERAK(スカゲラック)の発表も行っています。
予約制で2022年4月29日まで開催という、この限られたチャンスをお見逃しなく。
取材・文=本間美紀
フリッツ・ハンセン 150th ―タイムレスデザインの証
会期:2022年4月16日(土)~29日(金)
営業:10:00-18:00
会場:九段ハウス(東京都千代田区九段北1-15-9)
新型コロナウィルス感染拡大防止対策として、予約制