・第2章 これからのスモールラグジュアリーキッチン
Less is More, Small Luxury kitchen
スモールとラグジュアリー、一見、ジャンルとしては反対にあるような2つの言葉。
小さな家の小さなキッチンというサイズの話ではなく、家全体の中でキッチンスペースの割合が少なかったり、壁のように目だたなかったり、これまでアイランドとしていつでも主役だったキッチンが、レイアウトやサイズにとらわれることなく、その家族の個性にぴったり合ったものになるということを、証明してみたかったのです。
この章で意識したのは新しい住まいの価値観を持つ、これからの建築家の作品を紹介することです。大阪の藤原・室建築設計事務所、建築はもちろん、インテリアアーキテクトとしても才能発揮している船曳桜子さんや束野由佳さん。東京と上海、2拠点で活躍する小大建築設計事務所の小嶋伸也さんと綾香さん。福岡のスターデザイナー、TGDAの高須学さんとアトリエKOMAの松井大佑さん。建築家によるキッチンも充実した事例特集になりました。
果たしてさまざまな制限があるからこそ、キッチンはより濃縮され、予想以上の個性的なキッチン、人生に出会うことになりました。「スモールラグジュアリーは自分自身をよく知っていて、絞る勇気と知恵ある人がつくれるもの」と私の取材メモに走り書きが残っています。
こちらの住まいは1階の延床は80㎡で、キッチンのあるLDK+ラウンジヌックで56㎡という面積。当初はシンプルなインテリアに見えましたけど、インタビューが進むうちにキッチンや趣味のリビング、愛犬と過ごすヌックなど、人生の豊かさが詰め込まれているとわかりました。
驚くほど多様な個性に出会えた「スモールラグジュアリーキッチン」の取材、どうぞお楽しみ下さい!