今年で12年目を迎える「リアルキッチン&インテリア」のアーカイブから、キッチンストーリーの傑作選をお届けします。料理もインテリアも、どちらも好き。そんな想いを叶えたキッチンを取り上げます。リアルキッチン&インテリアならではの、タイムレスな物語をお楽しみください。月2回、更新予定です。
奈津子さん一家はもともとこの中古住宅を借りて住んでいました。そこをそのまま譲ってもらってリノベーションに挑戦しました。
「住んでいたから光の入り方や使い勝手はよく知っています。リノベーションではお菓子やご飯を楽しくつくれる、より自分らしいキッチンにしたいって思いました」。
友人の紹介で建築家の猪田剛史さんに改装を依頼。
「猪田さんに神戸のオーダーキッチン会社KOBESYYLEに連れていってもらって、キッチンをオーダーするという考え方を初めて知りました。最初は戸惑いましたが、同社の山本由紀さんが気さくに話しかけてくれて、自分でもいろんなことを話せました」
キッチンを頼むプロセスが楽しかった、と振り返る奈津子さん。
「話していると、すごいいろんなことができるんだなと、びっくりしました。たとえば大学の敷地で育った木を製材して扉に使ったキッチンを見せてもらいました。オーダーキッチンは既製品ではないですから、ただデザインがいいとかそれだけじゃなくて、個人的な思い入れを生かすこともできるんだ、と気づきました」
なつこさんの思い通りのキッチンはできましたか?という問いに、
「ワークトップは輝きがまろやかな、バイブレーション仕上げのステンレス。そこにウォームグレイのメラミン扉のデザインを提案してもらいました。プロの厨房のキリッとしたステンレスとは違いますが、家庭ですから温かみがあってよかったです。インテリアも大好きで、グレイッシュトーンに憧れていたから、相反する願いが両方かなった感じでした」