●新CEOが東京ショールームをお忍び訪問
Interview & report: Miki Homma journalist
ミラノサローネのレポートもひと段落した中ですが、イタリアのキッチンブランドのバルクッチーネ。新CEOジュゼッペ・ディ・ヌッチョさんが3月に東京にお忍び来日。いろいろお話を聞くことができました。
バルクッチーネはイタリア北東部のポルダノーネという街に誕生。現在はミラノを中心とするイタリアン・クリエーション・グループ(以下ICG)というブランドグループの傘下になっています。この傾向はB&Bイタリアとフロス、ルイスポールセン、ボッフィとMAU、デパドヴァなど、ジャンルの違うブランドがアライアンスを組む、最近の傾向を反映した流れの一つです。新CEOのデヌッチオさんの就任も、その流れにありますが、彼のスタンスはブランドを融合させるのではなく、それぞれの個性を際立たせることに特徴があります。
ーディ・ヌッチョさんの経歴をお聞かせください
「マルケ島で生まれて、子供の頃は海が好きでしたよ。今でも自然と旅、読書が大好きです。音楽も好きでドラムを叩いていました。イタリアの生物科学大学でを学び、その後、まったく方向が転換してファッションの世界へ行きました。自分もおしゃれが大好きでした。アルマーニ、バーバリー、ラフ・シモンズ、ジルサンダー、主要なアパレルブランドを歴任して、日本の市場も担当したことがあります。その戦略の経験を買われて、今回ICGグループの社長に就任しました。」
ーICGはどんなブランドを擁しているのですか?
「キッチンのバルクッチーネ、照明のフォンタナアルテ、家具のドリアデ、バスルームのトスカクアトロです。オーセンティックなメイド・イン・イタリーを世界に向けてプロモートするグループです」
ーそれぞれをミックスコーディネートして提案していくのでしょうか?
「アイデンティティを活かすことはICGの使命です。ICGではモノブランドのストアを重視して、まずそのブランドの個性を伝えていきます。コミュニケーション(消費者への伝え方)とコマーシャリズム(商業主義)は違うものです」
ー4ブランドはそれぞれに独立したアイデンティティをキープするのですね
「別々のビジネスユニットと考えています。昨年、中国に3つの異なる店舗をオープンしましたが、同じデザインフロアに単独店舗として3ブランドを構築しました。同じエリアに存在しているけど、別々。日本も今後は同じように展開する予定です・機能としてミックス提案はするかもしれないけど。店舗としては単独で複合店舗にはしていかない。個性がブランドの命です。他のファッションを見ていても、他のブランドを混ぜるようなことはしていない」