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Salone del mobile Milano

ミラノサローネ事前情報01

2018.04.10 キッチンジャーナリスト 本間美紀

●今年もよりミラノ市との連携を強化

あのカルテルの社長でもあるクラウディオ・ルーティさんが指揮を執るミラノサローネは、市をあげたイベントとしてもりあがっています。自身もミラノをこよなく愛するルーティさんから発表されたマニフェストには、ミラノサローネが他の見本市と違う、情熱と知性に満ちてます。その一部を抜粋しましょう。

「ミラノは他の多くの都市と結びついている国際都市です。イタリアの国そのものと 同じく、文化や美しさに富み、勤勉で国際的な性格を持ち合わせています。ミラノ は、小さいながらも’’大きな街’’、その原動力となる卓越性が集中している街です。 ミラノ市が「ミラノ・ダ・ベーレ(手に入れたい街)」と提唱しているように、モ ノが形となり、コミュニケーションを計る空間です」

「また、10年以上前、多くの批 判を浴びながら見本市会場が市内から隣町のロー市に移転され、マッシミリアーノ・フクサス設計による新見本市会場が建設されましたが、結果、会場は効率的な 地下鉄でミラノ市内を結び、高 列車でトリノへ50分、ボローニャへ60分、フィレ ンツェへ100分と利便性を確保、ミラノサローネの成功が会場移転への反対意見を見 事に覆しました。また、会期中はミラノ市内が新しい街に塗り替えられます。街中 のあらゆる店舗や貸しスペースが新しいクリエイティブなウィンドウに生まれ変わ ります。これがフオーリサローネです。ミラノデザインウィークの一週間、ミラノ サローネは、ビジネスと人々を繋ぎ、フオーリサローネをはじめ、全てを寛大に巻 き込み、共有し、街を一体化した唯一無二のモデルケースです」(フオリサローネとは会場の外、市街で行われるイベントの総称です)

38万人以上の来場者を集める会場。本当にこんな感じです。

「ミラノサローネは、クラシックからデザインまで、2,000社以上の企業が、家具を発表する場、その内 30%は海外から出展社です。劇場のように見える煌びやかなスタンドの背後に は数多くの生産ネットワ ークが存在します。地元のブリンツァをはじめとするミラノ近郊から、ベネト、マルケ、トスカーナ、プ ーリア、更にはドイツ、フランス、ベルギー、アメリカまで、世界中の素晴らしい生産者から厳選された海外出展社もひしめ き合う華やかな見本市の舞台には、生産ネットワークやシステムを地道に作り確固 たる基盤を作り上げてきた、職人を抱える小さな、小さな企業も存在します」と作り手であるメーカーに愛情深い視線を注ぎます。

「ミラノサローネの成功は、その基盤となる生産システム − 12ヶ月ごとの革新的なプ ロセスと生産を可能にしてくれるシステム – によって成り立っています。ミラノサ ローネに出展する企業、またミラノサローネ自体の絶えず革新する能力に基づいています。歴史を守りながら、競争が激しいマーケットで常に前進し続けるには「革新」と「品質」だけが生き残れるキーワードです。ミラノサローネ自身も革新する 必要があります。常に出展社と顧客サービスのモデルとなるよう、向上していく必 要があります」

ミラノサローネ会場ではこんなロゴ入りお土産も販売されるようになったようです!

今年も市内の各地にミラノサローネのインフォメーション・ポイントを設置。フィエラミラノ、SEA、ATM の協力を得て、マルペンサと リナーテ空港からミラノ市内の中央駅や主要な地下鉄駅まで、100 名の学生が協力 してインフォメーション・ポイントを開設。見本市会場までのアクセスや見本市情 報、市内の特別展情報などを案内するそうです。さらに運営会社の企画でミラノで誰もが訪れるドオモ(聖堂)の前には透明で巨大なドームが登場。「リビングネイチャー」と称して、高さ5m、500㎡の広さに四季ごとに人間と環境の関係を問う特別展示を行います。22時までオープンしています。

参加各社も盛り上がっているのがサローネらしいところ、例えばキッチンメーカーのLAGO社は「最後の晩餐」で知られるサンタ・マリア・グラツィエ美術館の夜間開館をスポンサード。4月17日から「MUSEO DEL CENACOLO VINCIANO 」が19時から22時まで開館し、仕事の後で美術鑑賞ができるように計らっています。これぞ芸術の国の企業活動という感じがします!
次のページではイタリア家具の経済状況について、ミラノサローネの運営側の調査結果を紹介します。
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