この住まいの大きな特徴が、キッチンのあるフロアで子育てがほぼ完結する間取りです。キッチン、ダイニング、リビングがひと続きになり、吹き抜けの上はキッズリビングになっています。キッチンから目の前のリビングも上のフロアも、子どもたちの様子が常に感じられます。勉強や遊び、お稽古の準備まで、キッチンから見渡せる構成です。

「声が全部聞こえるんです。子ども部屋にこもられると、その都度呼びに行かなければいけませんが、ここではそれがありません」。リビングの脇には子どもの洋服やおもちゃをしまえる小さなクローゼットルームがあり、着替えはそこで全部すませられます。キッチン収納もダイニング側は、子どもたちのケア用品をしまい、すぐに手が届きます。

そして両親が家事をしていると、自然と子どもたちはキッチンに集まり、料理を手伝ったり、横で遊んだりします。オープンキッチンが、家族の距離を縮めているのです。

「昨日は一緒にシュウマイを作りました。次女は料理が好きで、よく手伝ってくれます」。さらにキッチンには秘密の場所が。子どもたちのおやつがバスケットにきちんと分けられて、しまわれています。実用性だけではなく、キッチンを子どもたちのための「素敵な場所」にするアイデアです。

家事をしながら、子どもに目が届く。その安心感が、日々の暮らしに余裕をもたらしています。「楽をするというより、楽しく手を抜けるように、ですね」とまりなさん。
色も、間取りも、暮らし方も。すべては“完成”のためではなく、これから変化していく家族の時間を受け止めるための土台として整えられています。キッチンを中心に、家族の時間が自然とめぐってゆきます。
・設計 株式会社IDA一級建築事務所
・施工 株式会社伊田工務店
取材・文/本間美紀 早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多く、セミナー活動も増えている。著書に「人生を変えるインテリアキッチン」「リアルキッチン&インテリア」(以上小学館)、「デザインキッチンの新しい選び方」(学芸出版社)。
text=Miki Homma(Journalist)
撮影/岡村享則 photo=Yukinori Okamura
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