・ポーゲンポールー透過光をキッチンへ
ポーゲンポールは日本でももっとも知名度の高いキッチンでしょう。今年はブレラ地区のパラッツォ・ランドリアーニで、息の長いモデル「プラスモード」を、全く新しい素材で見せてくれました。
キッチンを独立した彫刻作品として、雰囲気のある空間体験を提供する展示で、「Gravity of Light(光の重力)」がテーマでした。静的な構造と組み合わせた光が重力を解消するように見えます。
特別に開発された表面照明技術により、天然石のワークトップを内側から均一に照らすことができます。光の色と強度を調整することで、個々のムード照明が可能になります。これはまるで宝石のように見事でした。
会場となったパラッツォの古いライブラリーの前にキッチン。非常に調和しています。この照明システムとキッチンの融合はシュトゥットガルドにある車や競技用自転車、またそれ以外の分野のプロダクトでも特殊な技術を少量でカスタマイズするドイツの技術会社「Bernd Kussmaul」の協力を得て開発されたものです。
美しいガラスのキャビネットに光が満ちる。久しぶりのポーゲンポールの展示は、ドイツキッチンが得意な実用面よりも、幻想的な世界を見せてくれる、意表をつく展示でした。
ポーゲンポールの細部に宿る美学を強調したプレゼンテーションとも言えるでしょう。
日本ではもっとも有名な3つのドイツキッチンの復権に、充実した気持ちになりました。
・bulthaup
・SieMatic
・Poggenpohl
取材=本間美紀(キッチン&インテリアジャーナリスト)
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「リアルリビング&インテリアISSUE 01」
小学館刊 著/本間美紀