KITCHEN
Eurocuina & MDW2024

ヨーロッパキッチンの最新事情03

2024.08.05

・ユーロクチーナ&MDWレポート2024

隔年開催されるミラノ国際キッチン家具見本市「ユーロクチーナ」とMDW(ミラノデザインウィーク)。本間美紀が気になったトピックスを紹介していきます。

ミラノ国際家具見本市でのキッチン、キッチン家電の参加社数は105社。また市街のミラノデザインウィークでは自社ショールーム、企画展での新作発表を取材しました。街の展示で大注目だったのは久しぶりのドイツキッチンの復活です。ブルトハウプ、ジーマティック、ポーゲンポールの展示をクイックに紹介します。2018年以来、6年ぶりに登場した顔ぶれです。

・There’s no Kitchenを掲げたブルトハウプ

ブルトハウプは「キッチンは存在しない」というテーマのもと、キッチンデザインの従来の概念に挑むパビリオンを発表しました。会場はブレラ絵画館。多くの人が行列する人気パビリオンです

30年近くかけて発表してきた「b1」「b2」「b3」というシリーズは変わりません。むしろそのシリーズを30年近くかけて育て、深めてきました。新しいモジュラーブルトハウプキッチンアイランドは、異素材を組み合わせてデザインできます。ステンレススチールトップ、スチールレッグ、ソリッドウッドパネル、またはオーク材のソリッドウッドトップと木製レッグ、シルクラッカーフィニッシュを備えています。当日はシェフが実現していましたが、こんなに食材をぎっしりのせられました!

ファンクションウォールはよりミニマリスティックに多機能にブルトハウプといえば、の定番のワークベンチ(下の調理台部分)を組み合わせた展示は、まるで機能がむき出しになったようで、ここ数年人気の「隠す」「塊のような」キッチンとは一線を画すものでした。

それはブルトハウプが最も強くテーマにしている「建築との融合」はさらに推し進められています。たとえばファンクションウォール。収納はミニマリスティックなワイヤーで吊られ、ツールはハンギング。コンロやシンクはファンクションウォールから必要な機能だけ、張り出しています。

ワークベンチとファンクションウォールの組み合わせはさらに多様に。キッチンツール、レザーポットホルダー、スパイスジャーホルダーを吊るすことができるエレメンツがあります。ペーパーロールホルダーとユーティリティバッグ、ブルーのシルクラッカー壁に取り付けられています。

キャビネットという収納ではなく、壁を進化させるのもブルトハウプの大きな特徴です。

クルミ材で作られた3次元の多面体の壁が導入されました。掘り込まれたようなの収納に鍋やスパイスツール、レシピを収納できます。

よりミニマルに、建築からキッチンの要素だけが抽出されているようなキッチンを、ブルトハウプは「プロダクトからシステムへ」と提唱し、このシステムが時代に合わせて長いタイムスパンで開発されていることを、明確に見せてくれたことに感動しました。

一つのシステムを長く開発し続け、交響曲のように完成させる。他に類を見ないブルトハウプのキッチン哲学は、また紹介できる機会があればと思います。

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