《My kitchenhouse》人気のコラボ連載「マイキッチンハウス」。2026年の「フル オーダー編」2回目
キッチンが二つある! 暁さんと早希さんのキッチンを見て、最初はそう思ってしまいました。
新築で建てた家の中心は、グレーと温かい木目で統一されたインテリアキッチン。色、素材、そして直線的なキッチンとアールを描いたカウンターのフォルム。様々な要素の調和がとれた空間です。

キッチンとリビングとダイニング。ここを中心として、実は多方向に家族とつながれる間取りが、このインテリアキッチンの要となっています。
リブ仕上げのカウンターは夫・暁さんのミニオフィス。ラインの美しいガラス仕切り扉の向こうは子どものプレイリビング。手前のソファは家族で映画やアニメを楽しめるファミリーリビングとなっています。

きりっとしたカウンターは最初はキッチンのように見えますが、ゲストを迎えるホテルのレセプションにも見えてきます。背面の壁にはエアコンや文房具などの小物が収納でき、当初から計画してきちんと設計で仕上げていった「特別な場所」だとわかります。
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出し惜しみしてしまったようですが、リブのカウンターは一体どんな場所なのでしょうか?実はここは暁さんのワークステーション。
実はこのカウンターとキッチンダイニングはこんな風に過ごせるのです。

暁さんの仕事は自宅で脚本の執筆や各種の創作活動です。「都心のマンションでは趣味や仕事で忙しくしていましたが、娘が生まれて、家事も育児も二人で協力して、楽しくできることが大事、ということにあらためて目覚めました」と暁さん。

「特に子どもが生まれたことが大きくて、妻と一緒に育児をしたい、その成長を見ていたいという思いがいちばん強いですね」。家族が集まる場所に仕事場所を構えたのは、暁さんのそんな思いからでした。ワークステーションをリブ仕上げで曲線的なアールにしたのは、設計者のアイディア。モダンながらキッチンの直線的なシルエットを緩める効果を狙ったそうです。

「個室で集中するよりも、日常の中で執筆をするタイプです。家族の声を聞きながら、生活の様子を見ながら、天気や季節の移り変わりを感じたり、リビングのテレビから飛び込んでくる情報や映像が、思わぬヒントになったりします」と、暁さんは話します。

キッチンやインテリアが早希さんの想いを優先しながら家族で決めて行きました。「イメージしたのは、グレーと木目を貴重とした、ジャパンディというキーワード」という早希さん。家具はスッとして端正なムードを持つジャパンブランド「タイム&スタイル」でそろえました。

リビングでは家族がこんな風に集います。暁さんは仕事中でも家族の様子をいつでも見ていたい、また仕事に疲れた時は、この団欒にいつでも加われます。「二人で一緒に楽しく育児をしよう」と夫婦で話しあって決まった間取りでもあったそうです。
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木目の床や天井、家具でまとめたインテリアに対し、キッチンはグレー系の扉「トープ」を選びました。設計者と「少し青みがかって見えるのではと」事前に検討したのですが、できてみると、全体の温かみや甘さを抑えたバランスに仕上がりました。このようにインテリアキッチンで、空間全体の床壁天井と、キッチンの扉材、ワークトップ材のバランスは、キッチンプランの中でも早めに決める重要なポイントです。

全体のインテリアを決めた後に早希さんは実際の作業動線と収納の関係を、しっかりと計画して行きました。
「夫婦で悩んだのは扉にハンドルをつけるかどうか。すっきりと見せたいけれど、開け閉めはハンドルがあった方が楽。でもフルオーダーなので自分たちのセンスにあった、細身のハンドルを選ぶことができたので、結果良かったと思っています」と早希さん。
暁さんも「ハンドルがなくても扉が開くプッシュオープンの仕組みを知った時は、おっ便利と思いましたが、子どもや大人の体がぶつかったときに、その度に開いてしまうのもどうかなと思いました。娘はキッチンが大好きで、走り回っているので、結果正解でした」と話します。

扉はフリップドアで、左右のサイドに収めておけるので、料理中は開けっぱなしで。大きな扉が行き来する動線の妨げになることはありません。大きな扉を開けると家電コーナーが現れます。炊飯器やコーヒーマシン、オーブンレンジを格納。

子どもの手の届く引出しには、日常よく使う道具をしまっています。大きくなればキッチンでのお手伝いも習慣になりそうです。
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キッチン本体はワークトップの天面とサイドをシーザーストーンの「ムーアンドフォグ」でまとめながら、裏側は実用的にまとめています。最近人気だというプランのシンク下のダストボックス。清掃用品を収められる収納。食器洗い機。奥はカウンター下に抜けをつくり、簡易テーブルのように使えます。

リビングダイニング、ワークステーションに向けた収納は子どもの育児に必要な生活用品や、夫婦で楽しむお酒類など、料理以外の用途に活用しています。

オーブンは調理スペースに近い位置に。「子どもと一緒にお菓子をつくるのが好きで、コンロを壁側に寄せてメインキッチンをシンクだけにしたのも、娘と安全に料理ができるようにという配慮からです」と早希さん。コンロとシンクを分けることで、メインキッチンで粉をこねたり、盛り付けをするスペースが確保できるのもよかったと話します。

食器用の引出しは食器洗い機から手の届く位置に設置しました。ビルトイン家電は省スペースなだけではなく、どこに位置させるかも重要で、それだけで料理の効率が変わります。

インテリアキッチンをすっきりと見せるために、インナードロワー(内引出し)も活用。食器と調味料を上手に分けてしまっています。

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夫の仕事場と育児という夫婦の共同作業、そして家族の団欒。その3つをうまく調和させたインテリアキッチンのある住まい。その中で、さらに自分たちらしさを出したというのが、照明と洗面スペースでした。

照明はフォスカリーニのカゴのような照明を、大きさ違いで多灯吊り。木の折り上げ天井からは間接照明がドラマチックに光を回します。平坦になりがちなリビングに光という要素が、重層的な響きを加えました。

またワークステーションのカウンターは、設計者が特注したという「ビールストーン」という人造大理石。一緒に工場まで行き、中に混ぜる骨材の色やバランスを決めたこの家だけのオリジナルのマテリアルです。

このマテリアルは洗面コーナーのカウンターにも使われています。「洗面って手を洗えればいいと思われがちですが、スキンケアや髭剃り、髪の毛の手入れ、ちょっとした洗濯など、作業も多くものも増えています。サブキッチンのように広めのスペースにして、収納も多く設けて大正解でした」

洗面キャビネットは住宅の設計側でつくったオリジナルですが、壁のタイルや壁付の水栓、タオルもたっぷり入る引出しがあり、心地よい場所になっています。ランドリーからも近い位置に設けました。

「リビングの壁の大谷石やキッチンの色合い、家族で選んでいくことで一つ一つに思い入れがあり、家を建てたというよりは、一緒につくりあげていった感覚が得られた」という二人。自身の生活や仕事のライフスタイルを把握しているからこそ、実現したインテリアキッチンのある家なのです。
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住宅設計=住友林業
取材・文/本間美紀 早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多く、セミナー活動も増えている。著書に「人生を変えるインテリアキッチン」「リアルキッチン&インテリア」(以上小学館)、「デザインキッチンの新しい選び方」(学芸出版社)。
text=Miki Homma(Journalist)
撮影/岡村享則 photo=Yukinori Okamura
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[My kitchenhouse] はキッチンハウスとリアルキッチン&インテリアがお届けする、リアルなキッチンの今を伝える連載です。
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