・ビバレッジステーションが家庭に
ビバレッジとは飲み物全般を指す言葉。水以外のすべての飲み物を表現し、ホテルやレストランなど飲食業界で使われる言葉である(「フード&ビバレッジ」など)。そしてその文化は、想像以上に私たちの暮らしに入り込んでいる。

コーヒーなら豆を何種類も、なんだったら焙煎の具合やオリジン(産地)までこだわって、ドリッパーやミルなども何種類も揃える。紅茶や日本茶でもフードペアリングなどをして、何種類も飲み分ける専門家もカフェも登場し、そこで茶葉を買って変える人もいる。水だって炭酸水メーカーを使っている家はもはや当たり前になり、水もデザインの良いボトルを何本も揃えて飲み分けている人も。

(マイキッチンハウス「キッチンでアール・ド・ヴィーヴルを」より)
ウィスキー、クラフトジン、ワインなどアルコールは言うまでもなく愛飲家は増えるばかりで、リープヘルやアスコのワインセラーを入れている人は少なくない。しかもキッチンにビルトインするワインセラーは進化が進み、スマホのアプリと連動して温度設定や在庫管理などができるほどで、所有する楽しみの可能性も広がっている。

ということで、前置きがなくなったけれど、こういったビバレッジアイテムが家庭のキッチンに収まり切らなくなっている。キッチンの一般的なトールキャビネット(キッチンの後ろに造作する食器や家電の収納棚)のほかに、幅900mmほどのキャビネットを設けて、電気ケトルや炭酸水メーカー、ジューサー、コーヒー道具などを入れる飲み物専用の収納やコーナーを持つキッチンを独立して備えることがこの数年とても増えている。シンクやが備えられている場合も多い。

(マイキッチンハウス「楽しみつくす─これからのスマートキッチン」より)
そしてこれは家庭だけではなく、長期滞在型のホテルの部屋のミニキッチンとして、オフィスの給湯室がワーカーが集まるセルフカフェコーナーに発展したり。インテリアキッチンが細分化して飲み物に特化した「ビバレッジステーション」になる。
今年はそんなエリアを持つキッチンの取材がますます増えそうな気がしている。
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今年もよろしくお願いします。
「コラム=本間美紀(キッチン&インテリアジャーナリスト)
Text=Miki Homma(journalist)
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